中国が仮想敵の場合、東シナ海が主戦場となる事が考えられますので、対馬海峡からでも日本海側に500キロの位置にある隠岐諸島は、位置的に考えてあまり対中国戦においては有効な位置にあるとは言えないと思います。
そのため隠岐諸島の場合、韓国、あるいは北朝鮮を仮想敵とした場合の方が、位置的には適合するかと思います。
隠岐諸島を前線基地の一つとして活用する事には賛成できますが、主力基地を建設し活用する事にはリスクが大きいように思います。
現代の戦術では兵器としてミサイルが大きな要素となります。
韓国を仮想敵とした場合、その地対地ミサイル、巡航ミサイルが脅威となります。
韓国の保有する巡航ミサイル玄武3シリーズは射程の短いA型でも500キロの射程があり、B型では1000キロ、C型では1500キロの射程距離があると言われています。
それより前の型の玄武2Bでも射程は300キロ~500キロと言われています。
こうしたミサイルを韓国は1700基保有する計画のようです。
そして、韓国沿岸から隠岐諸島までは350キロしかありません。
つまり隠岐諸島に大規模な基地を建設し、大部隊を駐留させる事は、韓国のミサイルの射程内に大部隊を配置するという事であり、下手をした場合、敵ミサイルの先制攻撃により、部隊に大きな損害や施設に重大な被害を被る可能性が出てきます。
勿論、ミサイル防衛のために対空ミサイル部隊を配備するなどの方策を講じるでしょうが、あまりに韓国からの距離が短く、ミサイルが発射されてから対応するまでの時間が限られているため、どこまで防衛できるかわかりませんし、大量の数による飽和攻撃をされるかもしれません。
ちなみに、米軍が沖縄の海兵隊の一部をグアムに移転させようとしている理由の一つも、こういうような事態が中国のミサイルにより沖縄で起こる事を恐れているためであり、そのリスクを減らすためです。
対馬や北九州に比べれば、隠岐諸島は韓国との距離はまだありますが、それでもリスクが高いように思います。
ただ、現在の自衛隊の基地の位置を見ると、あまりに日本海側が脆弱なのも確かです。
特に海上自衛隊の場合、舞鶴基地が日本海における唯一の港湾基地となっており、ここが何らかの理由により失われた場合(敵国の攻撃や震災など)、海上自衛隊が日本海で活動するのに大きな支障が生じる事になると思います。それをカバーする近い基地と言えば青森県の大湊基地か、山口県の下関基地という、もう本州の両端の基地という事になってしまいます。
そういう舞鶴一極集中の日本海の状況は危険だと考えますので、ある程度の機能をもった海上自衛隊の基地を2~3日本海側に確保しておく事は重要ではないかと私は考えています。
その一つとして隠岐諸島は候補の一つになるかと思います。
また、隠岐諸島では不審船が漂着したり、韓国の密漁に苦しめられてもいます。
今のところは海上保安庁で対応していますが、いつ事態がエスカレートするかもしれません。
それに備える意味でも、海上自衛隊の艦艇やヘリ部隊、哨戒機部隊を配備するのは悪くないと思います。
しかも隠岐の場合、島根県知事が自衛隊の駐留を要請していますから、配備しやすいでしょう。
2000メートル級の滑走路を持つ空港もありますから軍民両用の飛行場として活用もできます。
ところで海上自衛隊には「はやぶさ型」ミサイル艇が6隻あり、2隻で1隊を構成する第1~第3までのミサイル艇隊があります。
このミサイル艇は1999年に能登半島沖の不審船事件が発生した事を受けて、不審船対策を考慮した設計でもあります。
残念ながら6隻しか建造されず、配備されているのも大湊、舞鶴、佐世保であり、広い日本海をカバーするには全く数が足りません。
こうした「はやぶさ型」ミサイル艇をさらに建造しミサイル艇部隊を増やし、隠岐や佐渡に配備し、日本海の防備を厚くするのも悪くないと思います。
つまり、仮想敵国を韓国として、その保有兵器から考えると、韓国に近い位置にある隠岐諸島に重点を置くのは危険なので、主力基地とするのはやめた方がよく、前線基地として整備し、ミサイル艇隊や哨戒部隊を配備し、またレーダーサイトを設置してミサイル防衛網の強化に役立てた方が、私は良いと思います。
あくまで前線基地として一部兵力のみ配備した方が良いというのが私の考えです。
なお、隠岐諸島は竹島に一番近い日本の領土なので、韓国は少数の兵力でも配備されたら物凄く反発し警戒するでしょうから、この海域周辺の緊張は高まるでしょう。
ちなみに国防について私は今一番するべき事は自衛隊の戦力増強だと考えています。
自衛隊の戦力はあまりに少なすぎだと思います。
お礼
詳しいご回答どもうありがとうございます! そうですね。ぼくも自衛隊の戦力……というか士気や技術を高めるべきだと思います。