共産主義国家も民主的国家の一形態である以上(封建国家に比較して)文民統制はできますし、できなければなりません。
現在の中国にしても崩壊する前のソ連にしても、共産主義国家が完全に成立したわけではなく、共産主義を達成するための「闘争状態」とされていました。現在の北朝鮮も主体思想という独自さはありますが「闘争状態」であることは同じです。
この「闘争状態」という過渡期においては(本来なら民主的な手続きが望ましいのに)共産主義達成の目的を優先するために、共産党一党独裁が許される、というのが中国や北朝鮮(また過日のソ連も)の主張です。
>共産主義国家ではなぜ、文民統制ができないのですか?_
この過渡期の状態であるために、軍隊は国民軍でなく共産党が指揮する軍隊であり、共産党そのものとされています。つまり、文民も軍人も無く「共産主義を達成するための同志」が役割分担をしている、という解釈がなされるのです。そのため、共産党の書記長は文民の長であると同時に軍司令官の長であり、そこに民主的な手続きは一切ありません。(ご存知の通り、文民統制の文は、選挙などの民主的な手続きで役職についた代表者をいいます)
>なぜ、軍部と政権が一体化してしまうのですか?
だから、軍も政府も一体の「共産党」になるわけです。このあたりは、ポルポト政権などの毛沢東主義的共産党軍閥もまったく理論は同じです。
>なぜ、言論の自由が維持できないのですか?・・・・・・・・・・
言論の自由を奪うのも「闘争状態」だからです。共産主義を攻撃し、また甘言を呈して、その達成を阻止しようとするブルジョワジーに対して「本当に重要なことを伝え、指導できるのは共産党のみ」と考えているからです。だからこそ共産党一党独裁になる、ということでもあります。
>共産国の軍部にはなぜ、正義が無くて、堕落してしまうのですか?・・・・・・・・・・・・・・・・
この点についていうと「共産党だから」ということではありません。「一党独裁」だからです。強いて共産党に理由を求めるとすれば、共産党という仕組みが巨大な官僚組織を必要とするからです。
官僚組織は、原則として民主的な手続きや経済競争的な力学が入りにくく、その割には「権力」という巨大な力を有しているために、必ず腐敗する側面を持っているからです。
*「権力は腐敗する、専制的権力は徹底的に腐敗する」ジョン・アクトン(1834~1902年)*
アメリカや日本の政治(官僚機構)が腐敗しているとしても、民主的な選挙による手続きがある以上、徹底的に腐敗する前に新陳代謝が起きるメカニズムが備わっているといえます。
本来なら理想的な「共産主義」状態になれば、こんなことはないのでしょう(人間が実現できるとは思えませんが・・)
しかし、そこに至る道半ばで「闘争中」である、という言い訳をして共産党が一党独裁をつづける限り、文民統制もできず腐敗し続けるでしょう。そしていつかはソ連のように崩壊するのです。