V-22オスプレイは、アメリカ合衆国のベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・システムズ)社が共同で開発した軍用機で、世界初の実用ティルトローター機。ティルトローターとは、ヘリのローターと固定翼機のプロペラ機能を兼ね備えたもの。新しいタイプの航空機であり、ヘリコプターと固定翼機双方の特長を発揮できます。
ヘリコプターは垂直離着陸・ホバリングができますが、速度が遅く航続距離も短かい欠点があります。通常の固定翼機は高速移動や航続距離の面では優れていますが、長い滑走路が必要な上に、ヘリのようにホバリング等が不可能でした。
ティルトローターは、ヘリより速度が速くて航続距離も長く、通常の固定翼機よりも短い滑走路で運用できるため、幅広い航空活動を可能にしています。
オスプレイが配備される、沖縄のアメリカ海兵隊第3海兵遠征軍は、自衛隊にはない「併用戦能力」を有します。「併用戦能力」とは、海から陸の目的地沖合いに急行し、海と空から陸地の目的地に入る能力のことを言います。
この部隊は、有事における日本周辺や国内での軍事作戦はもとより、太平洋地域からペルシャ湾岸地域にかけての軍事作戦や人道支援・災害救援活動に、アメリカ軍の先鋒中の先鋒部隊として緊急出動する役割を担っています。
東日本大震災の際には、この部隊が自衛隊より先に被災地に入り、持ち前の機動力を発揮して孤立した避難所に必要な物資を届け、多くの被災者が飢えに苦しまずに済んだそうです。
現行ヘリのシーナイトと入れ替わりでオスプレイが配備されれば、米軍部隊全体の作戦能力が上がり、補給が効率よく行えるなどの活躍が期待できるだけでなく、日本を含むアジアの離島で自然災害が発生した場合、距離がありすぎてヘリでは行けない、滑走路がなく固定翼機が使えないなどの問題が発生した場合に、幅広い対応が可能になるでしょう。
機体構造の関係で、大型輸送機のように一度に多くの物資を輸送することはできませんが、被災地に救助先遣隊を派遣したり、初期に必要な物資を運んだり、急患を医療設備の整った場所へ空輸するなどの活躍が期待できます。
ただし、ローターブレードだけで揚力を得るヘリモードは、海抜の低い所では問題ありませんが、標高の高い場所では空気密度の違いから揚力が減るので運用には注意が必要になります。飛行モードであれば翼で揚力を得られるので、これは問題ないでしょう。
【主要仕様】
・プロペラ直径 11.62m
・全幅(プロペラ回転時) 25.58m 折り畳み時 5.77m
・全長 17.48m 折り畳み時 19.20m
・全高(ヘリモード時) 6.73m 折り畳み時 5.56m
・機体重量 15,177kg
・機内最大ペイロード(貨物仕様) 9,072kg
・最高時速 飛行機モード:509km ヘリモード:185km(Wikiより)
・エンジン型式 ロールスロイスAE1107Cリバティ 最大定格出力×基数 4,586kW×2
・エンジン片発時緊急最大出力 5,093kW
・航続距離(強襲揚陸時) 953km
・実用上昇限度 7,620m 片発時 3,139m
・ホバリング高度限界(地面効果外) 1,646m
・乗員(パイロット) MV-22 2名 CV-22 4名
・兵員用座席数 24席 クルー・チーフ(援護射撃等を行う後方要員)席 1席
沖縄に配備される理由。
沖縄に配置されていた部隊の機種交換がメインですが、戦略的な目的としては、日本周辺で有事や災害が起こった際の備え、中国と北朝鮮に対する牽制、朝鮮半島有事に対する備え、太平洋地域からペルシャ湾岸地域にかけての軍事作戦や人道支援・災害救援活動に関する備えでしょうね。