条約は国内法より優先というのを「なんで?」という部分抜きで言葉だけ学校で習っていたら、
それは根本的なところで事象を理解していない学校の先生の怠慢なので、
そういう彼らは無視しつつ復習してみましょう。
そもそも、国家(独立主権国家)という存在は、国際社会においてはそれぞれが最高機関であって、
国家に適用する「ルールを決める立法機関」はありません。つまり強制できないんです。
前提としての国際法優位の原則は条約を結んだあと、国内法があるから約束を守りませんよーという
言い訳じみた態度はダメですよ、という考え方です。
ですから、条約に無条件に従う、という考え方とは根本的に異なります。
同じ立場の人格の約束というのは、お互いが譲り合って結ぶわけですから、
一方的な理由で破られてしまったら、破られた方が損をしてしまいますよね?
そんな行為が横行すれば、国際社会はめちゃくちゃになっちゃいます。
というわけで国家さんに適用する「条約」と国民さんに適用する「法律」は、実は異なるものなのです。
じゃあ条約ってなんじゃい?というと、
1969年のウィーン条約法条約の締結以後は、
最高機関である国家どうしが同等な立場で結んだ約束を
文章化したもの、という定義をとっています。
法律と異なり、以下のような法律に無い権利が国家にはあります。
(1)留保
条約の条文に留保の条件があれば意見表明時に、無くとも条約参加国の同意があれば
「特定の条文だけ適用しない」ことができます。
(2)改正・修正
未来をすべてカバーする条約を制定することは不可能ですので、不都合が見つかった場合は
参加国の全員が、修正や改正を提案する権利があります。
このとき、改正したくない国家は条約の改正のテーブルには着かなくても良いのです。
この場合は改正のテーブルに着いた人は改正後の条約に、着かなかった人は改正前の条約が
適用されるようになります。
そして、条約を結んだ国家は「解釈」という作業を行います。
国内法と矛盾しないように、新たに法律を作ったり改正する。
条約が優先する、といっても条約の対象は国家であって、国民が守る法律を
新しく制定しなければいけないんです。
もちろん、それぞれの法律には改正の手続きが必要ですから、
憲法の改正が必要な条約なんかが存在すれば、それは国民の2/3が賛成をして
改正しなければいけません。ここでは条約が優先するから改正手続きは無視~なんて
話にはならず、改正ができないような重大事であれば、そもそもその条約は
留保するか断るわけです。
また、無理やり結ばされた条約や、買収によって成立した条約の無効というルールもあります。
以上のように、国家という存在は条約に「従う」存在ではなく、
国家は、条約の自分の都合の良い部分だけ参加できる存在であるわけです。
条約というのは何かしらの問題を解決するために結ぶ、得になる約束なのですから
条約で損をする人の言い分だけじゃなく、まずは「得になる部分」をチェックしてみたほうがいいと思いますよ。
お礼
ありがとうございました。国民の声を聞かず強引に可決するので不安になりました。