俺も力の限りを尽くしたのかな
30手前男です。
転職も決まり、やっと落ち着いた職場も手に入れることができました。
この前、先輩知人とのみにいった時転職がうまくいったことを話しました。
「いやあ、お前が良い年食って医学部うけたいとかなんとか言って根詰めてやっていたときと同じように、入ってすぐ転職するといったときはどうなるかと思ったが、良かったな!」
と祝福してくれました。
「ありがとうございます。」
「でもあんなに大きく夢を語っていたのに収まっちまってしまいました、普通のサラリーマンに…。」
お互いしんみりしてしまいました。
自分は10年前精神を病んでしまい、荒れ狂っていたそのとき助けてくれたのが先輩知人です。
あの当時、何としてでも精神科医になりたくて受験していました。
今でも思い出しますが、精神科医の待ちあい室、あのどんよりした雰囲気は忘れられません。あの雰囲気を変えたい、不幸を断ち切れる人間になりたかった。
私は壊れた精神を取り戻すのに何年、治療期間勉強できずそれを取り戻すのに何年、結局己の限界を知ってごく普通の大学に入り、就活、卒業して、社会人は忙しい毎日。
初めて勤めた場所はボーナスなし、残業代なしの残業は当たり前、また精神を病みそうで、もうそこから逃げたい一心で転職。
映画風立ちぬで美しいひこうきづくりを目指すトップエンジニア堀越に対して、設計家・カプロニが
「君の十年はどうだったかね?」との問いに
「はい、力の限りは尽くしました。終わりはズタズタでしたが」
と弱弱しく答えました。
堀越は美しいひこうきづくりのため力の限り研究開発を10年続けた結果、日本は戦敗国として無残に散っただけではなく開発したゼロ戦が一機も戻ることなく撃沈、そして堀越の嫁も結核でこの世を去ってしまいました。
私の主治医の精神科医にもかつてこう言われました。
「受験で数年、医学生として6年、最初は経験ない、現場に立ち続けて一人前の医者になるには10年かかるぞ。良いところで医学部に見切りつけないとずたずたな人生になる」と。
うつを発症してから10数年後、結果はどこにでもいるサラリーマン。
まあ、平均年収400万時代としては十分な仕事ですが、俺は本当に頑張ったのかなあと。
力の限りがんばっていないところがあったのではないかなと思ったり。
でも、力の限り夢を追っていたら結果ずたずたになっていたのかもしれない。
「いや、でもよくやったよ。あの状態から。」と先輩知人は言ってくれました。
確かに、終わりはズタズタじゃなかっただけよかった。
でも夢を追いにくい時代になってしまいましたね、こんな時代でも夢に向かって力の限り生きている人っているのかなと、ちょっと知りたくなりましたので質問しました。