> 現代のダンスというよりは古典芸能の側面から
というご期待には添えませんが、いくつか心当たりのある範囲でお答えします…。
舞踊という単語がそもそもおかしいという説があります。それは、古来日本では
「舞い」と「踊り」とは違った(いわばむしろ対照的な)動きを意味する言葉であり、
それらの区別を失った単語であると考えることが出来るからです。「舞い」は腕が
中心であったり地面に対して水平な動きをどちらかというと意味しており、それに
対し「踊り」は跳躍などの地面に対し垂直な動きを言います。この二つを総合し、
全ての要素を含んで踊りを指す時に使用される言葉となったようです(歴史には
全く詳しくないのですが、おぼろげな記憶では確か明治あたりだった気が…?)。
なお「舞踏」なのですが、これは芸術舞踊の中の1ジャンルとして成立しています。
土方巽や大野一雄、麿赤兒らなどが有名です。個性的な創作表現舞踊ですね。
その芸術舞踊の名称としてではなく、踊りの総称としては、どちらかというと
洋舞の方面を指す傾向にあるみたいです(例:舞踏会)。それは、主にステップを
重視する洋舞の傾向に合わせた感覚なのでしょうか…(「踏」の文字から…)。
(個人的に、舞踏という言葉は何となくソシアルダンス的なイメージがあります)
#1の方の引用部分にもありますが、農耕民族と騎馬民族の違いは、各国舞踊には
大きく表れています。東洋の舞踊には腕を重視したり重心を低く下に保つ傾向が
認められますし、西洋はまずバレエに代表されるように上昇志向で、脚でリズムを
刻むのがメインになっているものが多いです。これは「舞い」と「踊り」で分けていた
日本の感覚とは全く異なりますから、言葉の定義が曖昧になったのも当然です。
漢字のニュアンスで、多少は違いがあるように思われますが、辞書の上では
踊りの総称としての二つの意味の差はほとんどなさそうです。ただ先に書いた通り、
「舞踏」はジャンルとして存在するため、私は基本的に総称には「舞踊」を用います。
以上は、いまだ勉強中の身の頼りない回答ですので、学術性での問題がないとは
限りません。。。ので、どうか参考程度ということでお願いいたしますね。
お礼
丁寧なご回答ありがとうございました。 全ての要素を含んでいるときに、「舞踊」を用い、「舞踏」は 芸術舞踊の中のとりわけ西洋のものを指す、ということでしょうか。 1字違うだけなのに、こんなにいろいろな解釈や推察、考え方があるとは 思いもよりませんでした。 大変勉強になりました。ありがとうございます。