現在の評価を得るまでに日本は数十年の苦労を経ています。
*戦前、戦後は日本は独自の技術と販売網を持たず、現在の中国以下(たぶん)の販売に頼っていました。つまり海外のバイヤーの指示に基づいて物を作り、安く買い叩かれていました。ここから日本製品は長く
「安すかろう、悪かろう」の代名詞となり、デザイン盗用といわれ物まね天才との悪評を得ました。今日でも
日本製品を世界の高品質と認める人の横には必ず、この40~50年前のイメージで「しかし・・・しょせんは物まねだ」という人がいます。
*1960年後半ごろから日本メーカも独自の技術と自ら築いた販売網でいいものを安く作って売るようになり、消費者の目が徐々に変わって行きました。数年前までの韓国製品や中国製品が同じ道を経験しています。日本にはちょうど昔、欧米人が日本製品を評したように、依然として「中国製品は・・・」というこだわりがあります。Japan as No.1の時代が1980年代まで
続き、世界中が日本の生産管理、製造技術、経営手法を学ぼうとしました。
*1990年代にはいり現在まで続く長い経済停滞の時期(バブルの崩壊)を迎え、多くのメーカが目の前の販売に走らざるをえなくなり、円高コストアップを避けるため、又労賃の安さから東南アジア生産へ急速にシフトしました。現在では日本製品の高品質神話が崩れようとしています。独自の経営手法は早くも評価されなくなっています。むしろ、日本が総反省期にあり組織の見直し、給与体系の見直しなどが急速に進められています。新しい価値観を模索している自信のない時代にあるといえます。
これまで日本がいいものを安く作ってこれたのは、従業員が一丸となって担当する仕事を「わが事」として個人的に、グループで改善、改良に日夜努力してきたからだと思います。海外では従業員は自分に与えられた権限と責任(それに見合う賃金)の範囲で上の指示に従って仕事をするのが慣わしです。日本発の「KAIZEN」は今や世界共通語になっています。