新聞社の収益源は広告料です。新聞販売店の収益源は近隣の商店が発行するちらしの折込手数料です。どちらも新聞の部数を伸ばさないことには獲得できないものなのです。新聞代金だけでは、新聞記者の人件費も新聞配達員の人件費も賄えないのです。読者が望む記事を書かないと読者をつなぎとめることができません。すぐ他の新聞社に客を奪われてしまいます。
新聞社が国際問題を記事にしない理由は読者に受けないからです。それだけの話です。日本人は国際問題に無知無関心なのは昔からの伝統です。
新羅は唐と結んでいます。とても勝ち目ありません。といったところで聞き入れない。百済には世話になっている。見捨てるわけにはいかない。唐がどれほどの大国だったか誰も知らなかったのです。
元から贈られた国書の内容が非礼だと高麗人の使者を斬り飛ばしてしまった。それで2度の元寇を招いた。鎌倉幕府も朝廷も元がどれほどの大国か知らなかったのです。
李氏朝鮮のバックには明がついているぞ。とても勝ち目が無い。といったところで聞き入れない。秀吉は大陸情勢に全く無知無関心で何でも思い通りになると信じていたのです。
日中戦争でもそうです。アヘン戦争でイギリス軍は決して大陸に深入りしようとしませんでした。内陸に引きずり込まれたら、泥沼化してしまうことを怖れたからです。ところが日本軍はそうした歴史に学ばずに内陸に深入りしてしまった。足を棒のようにして広い大陸を行軍を続けたけど、結局決着をつけられなかった。日米戦争でもそうです。当時、日米の国力差がどれほど大きかったか誰も知らなかった。
当時マスコミは何を報道していたか。政府の穏健外交は軟弱だと、ひたすら大衆に迎合する論陣を張っていました。というと、すぐ軍部がどうとかいう人がいますが、それは嘘です。上海事変の時でも政府は日系企業に撤退を要請しました。ところが日系企業は逆に政府に軍隊の派遣を要請したのです。現地の日系企業でさえ大陸情勢を理解していたわけではない。今、撤退すれば膨大な投資が回収不能になってしまうという損得計算があっただけです。マスコミもそういう企業に迎合していました。
現在だって同じことです。今、国内にはTPPについて慎重論、反対論があります。にもかかわらず野田政権は、アメリカについていくというだけ。議論すらしようとしない。教えて!gooにはTPPの参加国すら知ろうとしないで、日本にとって利益があるのか損失があるのかを問う質問が一時期集中的にありました。彼らは国際情勢を全く知らなかったし、知ろうともしなかった。自分にとって利益があるのかどうか。それだけが彼らの唯一の関心事だったのです。チリ、ブルネイ、シンガポール、ニュージーランドといった国々と今どれぐらい貿易があるのか。そういう事を何も知らずに参加しないと世界の孤児になるといった馬鹿げた主張をする人もいました。
日本は昔からそうなのです。具体的な事実、数字を検討しようともしないで、ひたすら情緒、観念の世界に溺れてしまう。マスコミはそういう日本人に迎合した記事作りをしているだけです。
今、世界では地球温暖化によって酷いことになっている。世界の主食の主流を成す小麦は冷涼な気候を好むから地球温暖化によって収穫が伸び悩んでいます。地球温暖化によってロシア、アメリカ、オーストラリア、カナダといった小麦の産地で干ばつが起きています。ところがマスコミはそうした事実を一切報道しようとしません。なぜなら、そういう記事は読者に受けないからです。日本人はスーパーで小麦粉が売られているなら、世界で何が起きているかに全く興味を持とうとしないのです。日本人は何も知りません。日本人の主食である米は反って豊作を続けている。江戸時代、不作・凶作・飢饉に喘いだ東北地方は最近では西日本より米の作況指数が良いぐらいです。2000年代、東北地方は毎年、豊作を続けています。それは必ずしも品種改良や農民の努力の賜物というわけでもない。元々温暖な気候を好む稲は地球温暖化によって生育が絶好調だからなのです。にもかかわらず日本人は米を食べようとせず、世界からかき集めた小麦粉でパンだ、ケーキだ、たこ焼きだ、スイーツだと飽食を貪っているのです。
小麦粉の伸び悩みを補うかのように、タイ、インド、アメリカ、ベトナム、中国、パキスタンといった米の輸出国は、ほぼ毎年のように米の輸出額を増やしているのです。ところがマスコミはそうした事実を報道しようとしません。国民は、日本の米を海外に輸出しようという発想を持ちません。輸出しないまでも米の消費を増やして、その分の小麦粉の輸入量を減らそうという発想すら持たない。教えて!gooに寄せられる質問を見てもはっきりしています。「関東から関西に引っ越しましたが、こちらでは食パンの8枚切りが売られていません。何故ですか?」といった質問しかありません。くだらないといえばくだらない。8枚切りだろうと6枚切りだろうと食べてしまえば同じだろ。売っているだけ有り難いと思え。そんな回答をしても決してベストアンサーに選ばれることはありません。
こういうレベルの読者に受ける記事作りに新聞記者は追われているのです。国際問題や貧困問題じゃ新聞は売れない。それだけの話です。
お礼
確かに日本人は周りの流れや観念に流されてしまいますね。 論理ではなく、センチなんだと石原都知事がおっしゃっていましたが、 僕もそれは納得しています。 自分がしっかりして、情報を得ることが大事ですね。 ありがとうございました!^^