私達の夫婦は、仕草や動作の一つ一つから始まって、物事を始める順番や見たい番組や同じ番組を見た時の感想まで、全く正反対といっていいほど、全てが違います。
それなので、一日にどれだけの衝突があることでしょう。
そこで必ず出てくるセリフは「あなたと私って本当に違うのね」「ああ、そのようだな」このセリフ、何十回いや何百回言ったことか、数などとうにわからなくなりました。
そもそも結婚前は、男の私は女性に生まれた方が良かったのにと言われていたのに対し、彼女はヤクザも恐るような女性です。女にしておくのはもったいないとまで言われていた男気に溢れています。
私が彼女に惚れたのは、公衆の面前でも啖呵を切ってみせるような強い正義感でした。
彼女にしてみれば、半分は演技を楽しんでいたような余裕もありましたが、実際ヤクザに対面して、その迫力ある啖呵で撃退したこともあるほどの凄みがありました。
それに対し軟弱な私は、彼女にボロクソに言われ続けました。男として恥ずかしいことですが、どれだけ傷つき泣かされたことか・・・
それが結婚してからは、お互いが相手の要素を受け継ぎ、私は男らしくなり、彼女は本当に優しくなりました。
どこかしらで彼女の友人や知人に会うと、必ずお礼を言われました。「彼女、以前に比べて本当に優しくなりましたね、きっとあなたと結婚したお陰ですよ」と。
それはどうかはわかりませんが、少なくとも私が別人のように変わったことは事実です。
何年何月何日何時に変わったかということまではっきりわかります。
二人の間にそういう事件が起きたからです。結果的に見れば、私が生まれ変わるきっかけになったのですから、いい事件だったのだと思います。
今は、違うからこそいいのだと二人ともお互いを尊敬しています。
結婚するようになったいきさつもまるでドラマか奇跡のようで・・・それはまた別のテーマで・・・