質問者に若干の誤解があるようです。
まず、言われている内容は、単独世帯数が増えるのではなく、単独世帯率が高いということではありませんか。
理由は簡単です。欧米でもラテン系(イタリー、スペインなど)はやや異なりますが、イギリス、ドイツ、フランス、北欧、アメリカなどの諸国では、高齢者が子どもや孫と同居する慣習、すなわち拡大家族は極めて例外的です。
核家族という言葉はご存じですね。核家族は結婚して夫婦だけで暮らすことから始まり、子育てを経て、成人した子どもが独立してまた夫婦だけになり、やがて夫婦の一方が亡くなるところで終わります。(単身者は家族とは言いません)。
こうした仕組みは福祉国家以前からありました。福祉の充実が家族制度を変えたのではなく、家族制度を維持する方向で福祉が発達したのですね。
では、年金も保険も未発達な時代に、高齢者の生活はだれが支えていたのでしょうか。それは、親が引退する時、農園や商売を子どもが買い取る習慣があったからです。もちろん、必ずしも子どもに売る義務があるわけではありませんが、親は手数料がかからないし、子どもは市価より安く買えるので、親子とも満足する取引ななることが多いようです。
その取引を仲介したり、子どもに資金を融通するのは親の取引銀行です。経営の内容をよく知っているし、妥当な売却金額を算定する能力も備えているからです。
引退した夫婦は、アメリカならフロリダやハワイ、ヨーロッパならフランス、スペインの地中海岸など、太陽と砂浜のある保養地に引っ越します。積極的に人生を楽しむのがかれらの理想なのです。
それほど余裕がない高齢者は、家を処分して田舎の小さな別荘に移り住みます。さらに病気や障害がでてくると、高齢者向けの施設に入ります。クリスマスに孫たちが遊びにくるのが最大の楽しみのようです。
もちろん、北欧の場合は結婚についての意識の変化も無関係ではありません。しかし、これは家族の崩壊ではありません。いまや西欧諸国では婚外子(結婚していない夫婦の子ども)の割合は50%を超える国もありますが、家族のかたちに変化があったとはいえません。
もともと、質問者が示したこの統計は世帯を単位にしているので、家族に読みかえるのは間違いです。