デンオンのアナログ・ディスク・プレーヤー・システムは伝統的に軽量のターン・テーブルを AC サーボ・モーターで駆動する方式となっており、DP-60M も 33.3rpm 時起動時間 1.5sec と軽量ターン・テーブルならではの数値を持っています。
マイクロ社のアナログ・ディスク・プレーヤー・システムのように重量級のターン・テーブルを時間をかけて起動させ、巨大な慣性 Moment で安定性を保つものでは軸受部も強靭な構造になっているものですが、デンオン社の場合はターン・テーブルが軽量なだけに軸受部の強度も重量級スタビライザーに対して長大な耐久性を保証できるようにはなっていません。
最大何グラムまで大丈夫というなどという基準はなく、軸受部にかかる負荷が大きくなればなるほどマイクロ社のアナログ・ディスク・プレーヤー・システムよりも遥かに速く軸受部が痛んでくることになります。
サーボ・モーターですのでターン・テーブルの乗せるものが重くなればなるほど変動を抑え込む制御に時間がかかるようになるものの、1kg 乗せようと 2kg 乗せようと軸受部が壊れるまでは 33.3rpm を保ちます。
スタビライザーはディスクをターン・テーブルに密着させるものですが、要はディスクをスタビライザーとターン・テーブルとで強く挟み込めば良いのですから、発想を変えれば重量級である必要は全くありません。
軽量級の樹脂 (プラスティックス) 製スタビライザーの内穴径をセロテープなどの薄くて弾力のあるテープを用いて狭めてやればスタビライザーがディスク・スピンドル (軸) と密着するようになりますが、この密着力 (摩擦力) でディスクは強く挟まれるもののスタビライザー自身の重量は軽量なままですので軸受部にかかる負担はスタビライザーをスピンドルにねじ込む装着時のみで済みます・・・この方式は SP ディスク時代の蓄音機に付いていたプラスティックス製のディスク・アダプターが差し込み穴の精度が悪くて、反ってしまった LP ディスクのスタビライザー代わりになるという経験をしてきた者にとっては直ぐにも思い付きそうなものです(汗)。
この方式に改造できそうな市販のスタビライザーとしては・・・あまりに高価過ぎると呆れるのですが(滝汗)・・・オーディオ・テクニカの AT6284 があり、90g のインナー・スタビライザーにテープを貼って 70g のアンダー・スタビライザーに入れて用いれば 150g で済みますし、アンダー・スタビライザーだけを用いるように手を加えたものならば 100g を切るものも作ることができるでしょう。
これもわたしの感覚では呆れるほど高価なのですが、一般的な 600g のオーディオ・テクニカ AT618 はデンオン DP-60M の軸受部ベアリング寿命と引き換えに効果を期待するスタビライザーではないかと思います。
なお DP-60M はトーン・アームがストレート型と S 字型とに交換可能なようになっており、S 字型ではシェルを入れて約 12~18g のカートリッジに対応するようになっている一方で、ストレート型ではシェルを入れて約 4~10g のカートリッジに対応するようになっているように極めて軽量で高感度のトーン・アームとなっていることから、トーン・アームの微調整が性能を大きく左右するデリケートなシステムです。
カートリッジ (針) が左右に傾いていないか、ディスク面へ水平に接していなくて針が前後に傾いていないか、針圧は適正か、アンチ・スケーティング・フォースは適正か、リード線接続部に異常はないか・・・等々、超精密部品であるトーン・アームであるデンオン DP-60M のトーン・アームにはチェックすべき項目がたくさんあります。
スタビライザーに投資するのも結構ですが、トーン・アームをこまめに微調整することは怠らないでください。
オーディオファイル・アナログ・ディスク・プレーヤーと決別してからもう 20 年以上にもなりますが、懐かしいですね(^_^)/。
お礼
早速、丁寧なご回答を頂きまして、誠にありがとうございました。 当方、30年ぶりにアナログ機器を購入し、レコードを楽しんでいます。 いろいろアドバイスありがとうございました。