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中間利息控除と遅延損害金についての質問
- 交通事故の損害賠償に関する用語である中間利息控除と遅延損害金について、要点をまとめます。
- 中間利息控除とは、ライプニッツ係数とも呼ばれ、損害賠償金の計算において巻き戻しとして適用されます。
- 遅延損害金は、事故日から症状固定日までの期間において年利5%を適用し、訴訟になった場合に計算されます。
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結論的をいえば,返す必要はありません。 これは理論的には説明のできないところですが,訴訟において交通事故の損害賠償金額を算定する際の実務の慣行として,すべての損害が,事故発生時に一時に発生したものという擬制をおいています。 このことは,最高裁平成7年7月14日判決・交通事故民事裁判例集28巻4号963頁が認めていると理解されます。この判決は,「不法行為に基づく損害賠償債務は,損害の発生と同時に,なんらの催告を要することなく遅滞に陥るものであり,同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする損害賠償債務は一個と解すべきであつて,一体として損害発生時に遅滞に陥るもので,個々の損害費目ごとに遅滞時期が異なるものではなく,また被害者が損害額及びこれから控除すべき額を争つたからといつて,これによつて当然に遅延損害金の請求が制限される理由はない」としています。 したがって,症状固定まで2年かかったとしても,逸失利益は,症状固定時から67歳までの期間に相当する分について,事故時から年5分の遅延損害金をつけた金額を請求することができます。 考えてみれば,同じことは治療費や休業損害についてもいえるわけで,症状固定まで2年かかり,その間の休業損害が月10万だとした場合には,240万円に事故時からの遅延損害金を求められます。各月の10万円について,1年11か月分,1年10か月分・・・・という割り戻しをすることはありません。また,治療費についても,治療行為がなされた時期や,現実の治療費の支払時期にかかわらず,事故発生時から遅延損害金を取ることができます。 裁判所の態度がふらふらしたのが,弁護士費用で,弁護士費用相当額については,判決言い渡しの翌日であるとか,判決確定の翌日であるなどとする判決がありますが,他方で,弁護士費用も一括して事故時から遅延損害金を認めている判決もあります。私としては,上記の最高裁判例により,弁護士費用も,いつ支出したかにかかわらず,事故時からの遅延損害金が認められると考えています。