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被害者がいなければ犯罪ではない?
以前にこのサイトで「被害者のない犯罪的行動は犯罪ではありません」という主張を見ましたが、これは法律論から見て妥当なのでしょうか。 そのかたによれば、贈収賄や薬物使用は犯罪ではないそうです。 そうだとすれば、これらは犯罪ではなくて何(と呼ぶべき)なのでしょうか。
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特定の犯罪学の見地からすれば,妥当性を欠くとは言い切れないでしょうが,刑法学での普通の犯罪の定義は「構成要件に該当し,違法・有責な行為」とされていますから,後者からすれば妥当ではないでしょうね。 贈収賄は刑法197~198条に賄賂罪の規定がありますし,薬物使用は例えば覚せい剤取締法19,41の3条等の規定が存在することから,これに該当する行為をなした場合にも犯罪ではないというのは妥当ではありません。 なお,薬物や風俗,飲酒・喫煙のパターナリズムな規制など直接的な被害者を観念し難い犯罪類型を非犯罪化しようという考え方自体には正解も不正解もありません。 因みに普通,犯罪から護られるべきものは被害者の有無という観点からみるのでは無しに,3つに類型化された保護法益という観点から考えています。 蛇足ながら被害者なき犯罪という観点からは外れますが,各種未遂罪というものにも実質的被害が無いことは当然あります。
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贈収賄は.金品の授受の後に「特別な利益を与える」事を含みます(金をもらっても通常の事務処理と同じであれば成立しない。「身分相応の接待」であるかが.成立するかしないかの基準。例として.1億円の用地買収に関する接待と2万円の用地買収の接待.後者はお茶を出すぐらいですか)。したがって.「特別な利益」が法律の上の平等に反する.として.被害者がいます。 薬物使用で現在制限されている薬物は.錯乱状態から社会生活を成り立たなくする麻薬(本人の行動から被害者が出やすく.かつ.心身喪失状態になり責任能力なし.つまり.被害者が泣き寝入りになるので.所有と使用が禁止)。 スピード違反等は.交通の安全を確保する義務が道路管理者に発生する。この義務の範囲を制限するためのもの(住宅地の道路を時速200kmで走れる道路とすることは経費負担を考えると交通の安全を確保する義務から除外されても良いでしょう)。被害者は道路の建設費を負担している多くの場合.国民となります。 通貨偽造は.偽造紙幣が出ると全部造りなおしになる(本物か偽者か区別つかないから)ので.製造費を負担している国民全体が被害者。 被害者の存在しない犯罪的行動.たとえば.「これは本物の1万円札です」と書いた半紙を用意する行為.「これは麻薬です」と書いた半紙を保持する行為.自分が所有する道(注意として.道路法の適応を受けていないこと)で任意の速度で走る(例サーキット内走行)行為は.犯罪的行為ですが.犯罪にはなりません。 いくら本人が「偽札を造った」「麻薬を持っている」「スーピード違反している」といっても.犯罪ではないのです。 ただ.1万円札を良く見るとわかるのですがたしか「銀」の文字が通常の文字とは異なります。「日本銀行券」と書いても犯罪にならないように.製造側で注意は払われています。麻薬についても不特定多数の薬物が法規制を受けないように.特定の化学物質に限って制限されています。 ただ被害者がいるけれども.犯罪とはならない犯罪的行為はあります。たとえば.東京ガスが.熱量を減らしても使用量は変わらなかったとしてガス代を変えずに熱量を下げました。それから約20年後.熱量を上げて価格を上げるという逆の論法を繰り広げました。だまして避妊手術を行っても良いとして優生保護法.治療法が確立しているにもかかわらず患者を暖房が入らないような悪環境に幽閉したらい病予防法などがあります。現在は改正されていますが.旧伝染病予防法も.簡単に直る病気だけ指定されているという.簡単に直る病気でありながら幽閉されるという被害者でしょう。
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いろいろご解説ありがとうございます。 でも結局、「被害者のない犯罪的行動は犯罪ではありません」という命題は是なのでしょうか、非なのでしょうか。それが私の読解力では伝わってきません。
文脈がよく解らないのではっきりしませんが スピード違反をしたら、被害者は居なくても道交法違反です。 非合法な賭博をしたら被害者が居なくても犯罪です。 薬物使用は犯罪ではない? 薬物の所持自体が犯罪です。 使用目的で通貨を偽造するだけで犯罪です。 被害者が居なくても犯罪です。 被害者が居なくても社会の秩序維持のため犯罪になるものもあります。
お礼
ありがとうございます。 当然の常識論では、そうなると思います。
お礼
明快なご解説ありがとうございました。