今年読んだ本の中から三点選んでみました。
≪明治の外交力 陸奥宗光の『蹇蹇録』に学ぶ≫ 岡崎久彦 海竜社 2011年刊
近年の日本の外交はほとんど主権国家のていをなしていないと慨嘆している方も多いのではないでしょうか。日清戦争期に祖国のために尽瘁した陸奥宗光を、元外交官である著者が敬意をもってわかりやすく解説検証した一冊。危機管理ということでは内政にもそのまま通じる内容です。
≪万葉仮名で読む『万葉集』≫ 石川九楊 岩波書店 2011年刊
万葉集は万葉仮名と呼ばれる、漢文まがいのものから漢字による当て字にわたるものによって書かれている漢字表記だけの本であることはご承知のことと思います。書家である著者はこの点にあらためて着目し、仮名文字が完成した古今集以降の和歌とはまた別の読み方があることを豊富な実例によって示唆し、日本語成立事情にまで及ぶ卓見に満ちた論を展開しています。
≪きのこ文学名作選≫ 飯沢耕太郎/編 港の人 2010年刊
最もありふれた水による大部分と微量のビタミン及びミネラルによって構成され、動物でも植物でもなく、種としての一定の姿形から自由で、現実と冥界のはざまとおぼしき処にたちまち現れ、いつのまにか消えてゆく、食べて味良く、またしばしば猛烈多様な毒性をもって人を狂わせる、幻想的でエロティックな生き物、きのこ。この摩訶不思議なキノコ・ワールドにまつわる文芸作品の、いずれ劣らぬ秀逸を精選した一冊、本邦編です。ブックデザインも凝りに凝り、この点でも遊び心に溢れています。海外編も待ち遠しい^^
お礼
図書館に行ってみます! 回答に感謝しています。