オイルの話は、実は非常に複雑で文章で書いても先ず正しく伝わらない可能性が高いですよ。
それで宜しければ、以下は私が昔に某オイルメーカーの方に聞いた話で回答します。
先ずは、鉱物油と合成油の違いですが、石油から蒸留して得られる物が鉱物油で、様々な分子構造で油脂として沸点融点の近い物が色々と混じった物が精製されます。
対して、化学合成は文字通り科学的に合成した油で、特定の分子構造を持った油とその副産物だけで非常に均質な油が、精製されます。
一部合成油は、鉱物油と鉱物油のブレンド品です。
で、ここまでの話では、一見化学合成油が上質で鉱物油が粗悪に見えるかもしれませんが、化学合成油は均質さゆえに分子間の隙間も多いので、鉱物油に比べて吸水性が高く乳状化しやすいとか、浸透性が高いのでオイル漏れしやすい、油として硬いので対衝撃保護性能が低い、粘度特性の変化が大きい等と言う弱点があります。
鉱物油は、地下の高温高圧と言う状況に長年さらされていた油から、沸点融点の近い油だけを精製したので、分子間の隙間を埋める物質も多く含まれており、オイルとしての安定性は高いと言えるのですが、空気に触れた状態には余りなじんでいないので、酸化し易いという弱点があります。
まあ、こうした特性の違いも、今は添加剤である程度調整していますので、古い車でなければ気にする必要は無いと言えます。(オイルメーカーの方の話では、古い車では鉱物油を使った方が良いそうです。)
次に、SAE粘度記号と呼ばれる指標値ですが、○W-△で表されるもので、新品状態でのオイルの粘り気を表しています。
○の部分がエンジンを始動させても大丈夫な温度保証を示していて、0だと摂氏-40度、10だと摂氏-30度を示します。
△の部分は、摂氏100度でのオイルの流れにくさを示しています。
あと、グレード記号SG~SMと言うのは粘度以外の性能に関してどのレベルを満たしているかのデータで、オイルの酸化安定性、デポジット防止性、サビ・腐食・磨耗防止性、洗浄性、蒸発性、せん断安定性と言う多岐にわたる物で、後ろのアルファベットが、後の文字になるほど、基準値が引き上げられています。
また、オイルの交換時期に関しては、2通りの説がありまして基本的にはどちらも間違っていません。
1つ目は、自動車メーカーが指定している交換時期で、車のマニュアルに書かれているタイミングです。
これは、自動車メーカーとしてエンジンの消耗を自動車メーカーの設計範囲に納めきれる事が保証できるレベルのタイミングであって、最近の車では、純正指定のオイルで約1万キロから1万5千キロ毎位の値が指定されているます。
もう一つは、オイルメーカーが推奨しているタイミングで、低グレードのオイルなら3千キロ、高級グレードのオイルでも5千キロと言われている値で、こちらはオイルの性能がオイルメーカーの設計レベルの70%以上の性能を維持できる子とが保証できるレベルのタイミングになります。
と言う事で、オイルの値段の違いは何かと言いますと、1割はレースのようなスポーツ走行を行ったときに発揮される性能で、残る9割はブランド代です。
ですので、公道を普通に走る分には、自動車メーカー純正のオイルをメーカーの指定のタイミングで交換していればまず問題が出ることはありませんし、自動車メーカーの純正指定のオイルを使われないなら、SAE粘度記号が純正オイルに出来るだけ近い物をオイルメーカーが推奨しているタイミングで交換していれば、過剰整備に近いので不具合の原因になることはありません。
お礼
非常に複雑で文章で書いても正しく伝わりにくいところ、非常にわかりやすく租借して頂き、ありがとうございました。○Wー△のところとかもわかりやすく、ためになりました。私の車は古い車なので、次回のオイル交換のときは鉱物油を吟味してみようと思います。