No.4です。追加質問などにお答えして。
<質問文で「愛国反米」と書いてしまいましたが、「愛国親米」の間違いです。>
日本人ほとんどすべては愛国ですし、日本は戦後65年間、親米路線を取ってきましたから、一般的保守層=愛国で親米路線支持と言うのは、当然ですね。
超保守層では、愛国反米の考え方を持つ人がいるのは、既に述べた通りです。
<経済的な面で言う「リベラル」とは、北欧型の福祉大国を想像しておいて間違いはないでしょうか。>
違います。
形式的には、北欧型福祉大国というのは、議会制民主主義のもとで社会主義を実践していくという考え方で、民主社会主義といって、自由主義であるリベラリズムとは相いれない要素が多いと言えます。
本来のリベラルな考え方でいけば、国家組織を通して福祉を行うことは、全国均一な運用となり、管理組織が肥大して、官僚社会となり効率が低下するので、地方やNGO・個人のボランティアが福祉の主体となるべきだと言う考え方をします。
・国家規模による制度との相性
1、人口3億を超え、国土の面積が広いアメリカでは、現在の社会福祉の担い手の主体は、リベラル本来の考え方である州・郡・市及びNGO・ボランティアです。
2、北欧のスエーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマークなどでは、最大の人口を持つスウェーデンでも人口は1000万人以下で、日本やアメリカの地方自治体規模であり、国家組織として社会福祉を行っても、地域差が日本やアメリカほど大きくなく、官僚組織の肥大化や地域の実情無視といった要素が元々少ないのです。
ですから、民主社会主義を実行して高い税負担をしても、国民の意識自体には、リベラル的なお互いの助け合いのために、ボランティアとして寄付して、みんなで助け合いをしている感覚に近いものがあります。(中央政府自体が、国民にとって地方自治体レベルの近さで、大きなNGOとしての性格も持っているといってよいでしょう。)
そのために、リベラルとは全く違う政治制度を採用しながらも、国民の意識は極めてリベラル的なものがあり、コンパクトな国家規模のおかげで、政治制度と国民意識が矛盾していても、両立できています。
3、日本の場合、戦前の国家=巨大な家族的モラルが政治的には崩壊しましたが、潜在的には残っており、それに東西冷戦による資本主義経済と社会主義経済による政治圏の対立を軸に、三つの分裂国家、朝鮮半島、中国、ベトナムの背後にある西側の巨大な前線拠点として、リベラルという考え方が中央政治の主流となることはありませんでした。
その結果、政治思想抜きに(本来、資本主義経済と自由主義は裏表一体の性格がある)、表は資本主義経済、潜在的には巨大な家族と言うことで、バブル期前の日本の実態を「最も成功した社会主義国」と言った人もいます。
人口1億を超える日本では、民主社会主義政治とリベラルの両立は困難と思います。
<親中親韓が経済的に日本の発展に繋がるという考え方ですよね?
ただ国防の観点でここを切り離して考えることは不可能なのでしょうか?>
アメリカとカナダは、国防が完全に一体化していて、経済もほぼ一体化しているにもかかわらず、国際問題として、EEZの重複設定問題(アラスカ・ユーコン準州の北極海側の大陸棚)や北西航路問題の対立があります。
今年7月に開始された東シナ海海底ガス田の共同開発条約締結交渉は、尖閣諸島周辺の石油開発を視野に入れていました。(日中実務担当者のシナリオは、ガス田条約が締結されれば、その信頼関係をベースに、尖閣諸島周辺の石油共同開発条約交渉に入るというスケジュールだったでしょう。尖閣諸島漁船問題で、ガス田交渉は無期限延期になってしまいましたが。)
ですから、国防と経済関係は切り離して考えることは当然可能ですし、防衛省制服組=武官官僚は、当然経済関係が相当記緊密であっても、紛争はあるという観点から、国防立案をします。
政治家は、外交や経済関係を緊密化させることによって、紛争のリスクをどの程度下げられるかを総合的に判断します。
私見ですが、常に存在する偶発的国境紛争のリスクを別にして、軍指揮系統による意図的大規模紛争のリスクは、現在の日本の国力や島国であるという状況から見て、現状の防衛体制の継続で、韓国相手のリスクはほとんどゼロにできます。
問題は、中国相手のものです。中国の経済規模拡大によって国家予算内の軍事費比率が少しくらい低下しても、絶対額は拡大を続けています。海上戦闘能力から見て、今後10年は大丈夫でしょうが、中国の経済崩壊・民主化による内紛・分裂などがなければ、日本一国では対処できなくなる可能性があり、アセアン・オーストラリアとの外交・軍事関係強化などが必要かもしれません。
お礼
ご回答ありがとうございます。 どうも「リベラル」という言葉に福祉のイメージがついてしまって混同しておりましたが、詳しい説明でよくわかりました。 個人的にはバブル期前までの日本や、北欧型の社会に魅力を感じておりましたので、 >人口1億を超える日本では、民主社会主義政治とリベラルの両立は困難と思います。 このことについては私も考えおりましたが、英国が現在「民主自由主義」だそうですね。 ここから何か参考にできることはないだろうか? 道州制の取り入れで実現可能ではないだろうか? との思いです。 国防と経済を切り離して考えることができるということは、やはり今の中国の脅威には警戒を強めておいた方が良いということですよね。 次期トップと言われている習金平の存在も恐ろしいです。