リヤウインドウのワイパーは、確かにあった方がよいですよね。かつてはオプション設定されているセダンもあったんですが・・・
※まず、何故リヤワイパが付いている車種があるか?っという話。
リヤウインドウの汚れは、泥の跳ねあげではなく流体力学的(クルマ雑誌などで『空力』と書かれている学問ジャンル)な理由から来ています。(泥がリヤウインドウの高さに到達するほど跳ねあがったら、雨の日に後方を走るクルマは視界ゼロになってしまいますね。泥は流体力学的な作用で『リヤウインドウに向かって飛んでくる』ので、後方車に対しても同様に泥を撒き散らすという事はありません。)
クルマは、ある一定速度以上の走行で(大体70~80km/hぐらいからですが、クルマによっては60km/h台でも)テールランプ後方に空気の負圧帯が出来、後輪だけでなく前輪でも巻きあげられた泥が吸い上げられます。この時、トランクが無いファストバック(スポーツカーのクーペスタイル)や1BOX・2BOX形状ではリヤウインドウまで負圧帯にかかり、吸い上げられた泥がガラスに付着してモーレツに汚れます。故に、この手のスタイリングのクルマには、リヤワイパが標準装置となっています。
※セダンでも同じ事が起こっていますが、汚れるのはテールランプだけです。
セダンの場合、リヤガラスの後方にはルーフ上を通る気流がトランクフードの上面に向かって緩やかに下降したり車体側面からの空気が補填され、トランクの上面はテールランプ周りほどは減圧しません。(ベンツでは、『汚れても視認性が落ちにくいテールランプ形状』というモノを宣伝の一つにしていましたが、リヤウインドウまで汚れるとは主張していません。)
一見するとセダンでもリヤウインドウは十分汚れている様に見えますが、実際のところリヤウインドウに付着する汚れは、同一速度で走行する1BOXや2BOX車と比べると全く軽微です。
※セダンのリヤウインドウ周りの負圧帯は、テールランプ後方の負圧帯が伸びて来るだけでなく、ルーフに沿って流れてきた気流が、リヤウインドウ上端で『車体から剥離』する事でも発生します。
その為、リヤウインドウが立っていた過去のセダンでは、リヤワイパをオプション設定しているクルマもありました(セドリック/グロリアという、当時国産車で最高級車クラスのクルマにさえリヤワイパの設定がありました。リヤワイパは『高級車に相応しくないからつけない』というワケでは、必ずしもありません。)
ただこの『気流の剥離』というヤツは『誘導抵抗』という空気の抵抗を生み、主に高速道路走行での燃費を悪化させます。またデザインのトレンドがファストバック風に移ったという事もあり、セダンのリヤウインドウは年々その傾斜角度を弱め(路面と並行に近付き)、『気流の剥離』が減ってリヤウインドウ後方の負圧が軽減され、それにつれてリヤウインドウの汚れは更に軽微となりました。
当然、セダンにリヤワイパが必要だと考えるユーザーは減ってゆき、リヤワイパの装着率が落ち込んで『売れないなら要らない』というカーメーカ側の判断でリヤワイパの設定そのものが無くなって今日に至る、っといったところです。
※現在のセダンのデザインのトレンドは、高いトランクフードと緩やかな傾斜のリヤウインドウに向かっていますが、リヤウインドウ後方の負圧を軽減する方向でもあります。これは益々、リヤウインドウの汚れの軽減につながる方向と言えます。
※が、それはあくまでも『走行状態』での話。現代のクルマではリヤウインドウが『上を向いている』ので、特に雨天時の停車中や低速走行での視界は、なかなか流れ落ちない水滴によりかえって悪化しているのも事実です。
今後、後方視界確保の為の工夫がセダンにも現れる可能性は十分あると思います。実際には・・・コスト優先だとワイパという事になる様な気もしますが、フロントウインドウの様にヒンパンに窓を拭く必要も無いワケで、すると超撥水或いは超親水ガラスとか一瞬の高圧エアで雨滴を吹き飛ばすとか、そういった『フロントウインドウの汚れ落としとは考え方の違う、ワイパより簡易な装置』になるかもしれません。
お礼
へぇ~、快適性ですか・・・ 全く想像していませんでした。 なるほどと思います。 でも、オプション設定があっても・・・ ありがとうございます!