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医者への苦情どこに言えば?
医者への苦情どこに言えば? 「今までに何度か、病院で怒鳴り散らされるなど嫌な出来事に遭遇したり、不快になることを言われたりしました。医療ミス以外の医者への苦情は、泣き寝入りするしかないのでしょうか?」=鳥取市の女性会社員(22)
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■病院によって対応にばらつき 医者に暴言を吐かれた、治療内容に不安がある|。病院に不満がありながらも、どう伝えればいいのか分からない人は多い。 医療に対する苦情の公的な相談窓口としては、都道府県などが運営する「医療安全支援センター」がある。センターの名称は自治体ごとに異なるが、厚生労働省が医療事故対策の柱として平成?年から設置を呼びかけ、昨年1月の時点で全国に388カ所ある。 医師や職員の対応などの苦情以外にも、さまざまな医療に関する相談を受け付けて中立的な立場で助言。東京都が設置する「患者の声相談窓口」では、都内の医療機関で行われている医療について、看護師や保健師など専門の職員が電話で相談を受けている。 都によると、年間で約1万件、1日に40~50件の相談があり、約4割が「診察で不快なことを言われた」など、医師や診療についての苦情だという。 こうした苦情は、患者からの要望として該当の医療機関へ伝えられる。衛生面での問題など、患者の安全に直接かかわる場合は保健所に連絡し、立ち入り検査が行われることもある。だが、センターは要望を病院側に伝えるだけで、「十分に機能していない」と指摘する声も多い。 医療機関が独自に患者からの苦情や相談に対応する体制を整える動きもある。厚労省によると、国が高度な医療の提供を認める特定機能病院には患者相談窓口の設置が義務付けられている。それ以外の医療機関でも、独自に窓口を設けているところは多いという。 先進的な取り組みで知られるのは、「新葛飾病院」(東京都葛飾区)。この病院では、患者からの問い合わせの窓口となる「医療安全対策室」に、医療事故で息子を亡くした経験がある豊田郁子さん(42)を雇っている。 豊田さんは、セーフティーマネジャーとして、悩みを持った患者と病院の橋渡しをする。「主治医を変えたい。でも治療に影響が出ると困るので、医師には伝わらないようにしてほしい」。こうした患者の相談を親身になって聞き、病院側の言い分にも耳を傾ける。双方が納得いくまで対話を続け、患者や病院の意向に沿う形で問題解決の糸口を探る。患者と病院側の両方を支援するのが、豊田さんの役割だ。 豊田さんは「ほとんどの病院に相談窓口があるはず。探してみて、まずは気軽に相談してほしい」と話すが、「多くの病院では、窓口の存在をうまく知らせることができていない」とも指摘。また、窓口はあっても適切な対応ができる職員がいない場合もあり、病院によって対応にばらつきがあるのが現状だという。 ■医師と患者の対話も必要 医療事故などトラブルが起こった際の患者と医療者の橋渡し役を「医療メディエーター(医療対話仲介者)」と呼び、養成する取り組みも進んでいる。 「日本医療メディエーター協会」の代表理事で、早稲田大学大学院法務研究科の和田仁孝教授は「トラブルの根底には、医者と患者のコミュニケーションのずれがある」と話す。 患者が必死に自分の不安を伝えようとしているのに、病院側は「クレーマー」とレッテルを張ることはままあるという。多忙なこともあり、トラブルが起こったとき、患者の言葉の背景にまで思いを巡らせることができる医者は、多くはない。 メディエーターの養成プログラムでは、トラブルを想定したロールプレーイングなどを通じて、患者と向き合う姿勢やコミュニケーションのスキルを身につける。日常的に患者と接する際にも役立つという。 こうした医師と患者の対話文化を定着させるべく、国も対策に乗り出した。 厚労省は昨年度から、患者と医師の対話促進をサポートする「院内相談員」の養成研修に、補助金を支給する事業を始めた。医療関係者と患者側が意見を交わすシンポジウムを開いたり、医療事故に遭った患者や家族を交えた養成研修を開いたりして、全国に相談員を拡大させたい考えだ。 和田教授は「患者の声をきちんと反映させることで、医療の質も上がっていく。医療安全支援センターに指導権限を持たせるなど、うまく機能させる工夫も必要だ」と話している。(長谷川陽子) ◇ 「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。