こんにちは
> 要請があるグアム近くのあの島に移設した場合に、日本の国防にどの
> 程度の損害があるでしょう。
普天間航空基地を完全移転とし、その移転先をテニアン島にしたら、
我が国の防衛力が低下するのではないか? というご質問ですね。
まずはじめに・・・。他の回答者の方も触れていらっしゃいますが、
普天間だけ移設(他の海兵隊部隊は残す)って基本的にはあり得ないの
です。だって、普天間の航空部隊って海兵隊員さんを"せっせと運ぶ"為
に存在してますんで。普天間をどっか遠くに移設したら、他の海兵隊
地上戦闘部隊も一緒にその近くに移転させないといけないんです。
宅配便のトラックが、配送センターから"すんごーーく遠くの駐車場"
に置いてあったりしたら"仕事にならない"でしょ。(^_-)
ですので、普天間の県外(国外も含め)移設=在沖海兵隊全体の県外
移設、という事になってしまします。
さて、テニアン島にそんな(在沖海兵隊が全部移転出来るほどの)
余裕あるのか? という根本的な疑問には あえて目をつむり (^_^;)
また、アメリカも何故だか急に物わかりが良くなり (~o~) 仮に移転
に合意したとします。
そこで問題となるのは「在沖海兵隊を追い出した後に、我が国がどう
いう戦略(施策)を採るのか?」ということでしょう。
もしも「何もしない、移転跡地を全部商業施設とか宅地とかにしちゃって
、いやー平和っていいですねぇ (-.-)y-゜゜」的な、自己中な選択を
我が国がしたならば、一番焦るのは"台湾"でしょうね。「あぁ 日米に
見捨てられた」と思い、再び軍備拡張に走り、台中関係は一挙に緊張
するでしょう。
我が国への直接的な脅威には直ちになり得ないものの、その後の台中
両国政権の対応によっては、台湾海峡や周辺海域で様々な小競り合い
が徐々に増えて、船舶の航行や漁業への影響が出ることも予想されます。
状況の推移によっては、東シナ海日中中間線付近の海底油田地帯でも
「防衛名目」で、今以上に中国の艦船が出張ってくるかもしれません。
次に「代わりに自衛隊を増強する、例えば"西普連"のような離島侵攻
対処能力の高い部隊を、それなりの規模で沖縄に展開する」という
選択をした場合ですが、今度は中国のほうが敏感に反応するでしょう。
第一列島線から第二列島線に進出する、まさにその出口に(海,空軍力
のような、直接的な脅威ではないものの)一定のプレゼンスが出現し
ますので、硬軟両面で、その能力が発揮されるのを阻止(妨害)しよう
とするでしょうね。
ただ、いくらなんでも最初から"ガチな"対応をしようとは思ってもいな
いでしょうから(お金も時間もかかりますし・・・)我が国の目を他に
向ける、向けさせる、という戦略を採るかもしれません。
「脅威は"南"じゃなくて むしろ"西"ですよ~、そっちに注意して下さ
~い! (^o^)/ 」って。
つまり朝鮮半島にある種の不安定状態を定期的に生み出し、韓国との仲
もギクシャクするように仕向け、いやがおう上でも我が国が一定の防衛
力を常に半島方面に指向せねばならないように誘導する、と。
以上 普天間基地(及び在沖海兵隊)が 国外に完全移転したとしても
喫緊に深刻な事態を誘発するには至りませんが、長期的に考えると今以上
に面倒でコストのかかる状況になっていくだろうと推測されます。
> 資源に乏しい日本を攻めるメリットは少ないし、政治的な利害衝突
> だけで軍を動かせば国際社会では孤立するので、「基地自体不要」と
> 思ってます。
はい、日本全土を占領してやろう などと思っている国はまずいないで
しょうね。
ただ、今よりずっと"従順にさせてやろう"とか"イザという時でも口出し
させないようにしよう"と思っている国はあるでしょう。
それには何も直接的な軍事力の行使だけが手段ではありません。
政治、経済、軍事の全てにおいて我が国が「あの国と対峙してもまっ
たく叶わない」と悟らせるようにすれば、その目的はほぼ達成出来る
でしょう。
基地及びそこに展開する軍事力というのは、攻撃・防御という直接的
な力の行使の源でもありますが、同時に「なんかあったらタダじゃ
すまないよ」という 相手へのメッセージ にもなり得る存在です。
今後将来的にどの程度の在日米軍基地(駐留戦力)が必要か? という
事はもちろん検討し続けなければなりませんが「不要」と 断じるには
いささか早計かと思います。
少なくとも我が国が持てる防衛力をきちんと発揮出来る環境(各種の
法解釈、運用も含め)が整ってから、の話でしょうね。
> また、日本は国防意識が低すぎて話にならないぜ・・みたいな論文を
> よく読みますが、実際どのようなデメリットがあるのでしょう。
意識が低いのでは無く、各自が潜在的に持っている意識を、自由に発揮
したり、時には論じたり、また研究したり、その成果を蓄積し、かつ
自由にそれが検索・閲覧出来たり、という環境がプアなんだと思います。
ここ10年くらいでだいぶ解消されては来ましたが まだまだ「タブー」と
する風潮が残っているように思います。
なので、"平和は強く祈れば達成される"的な神がかった話から、"今回も
アメリカが絶対裏で糸引いている"という怪しげな陰謀論や、"一億総火の
玉となれば我が神国日本は無敵だ"的なイケイケ論まで、ともかく無駄な
議論の割合が多くなってしまい、冷静かつ客観的な国防論が埋没しちゃう
のでしょうね。
お礼
素晴らしい回答ありがとうございます。あえて私の質問にそくしたケーススタディを用いた回答をして頂きありがたく思います。おかげで理解が一層深まりました。回答としては完璧といえるでしょう。 シナ対策として台湾との関係を常に意識する必要があるようですね。だけでなく、日米を中心とした東南アジア全域の対シナ防衛機構というのの設立が望まれている気がします。 しかしASEAN+3は中国がいるので、日米台のJAT(ジャット)を作りたいです。インドシフトを加えたJATI(ジャッティ)も響きが好きです(笑)