まず石灰硫黄合剤を使用する時には、人体に付着しないようにするため
に、必ず噴霧器を使用するようにします。今回は刷毛で塗られようとさ
れていますが、刷毛で塗ると人体に付着したり気化した薬剤を吸い込ん
で人体を害す危険が高くなります。
人体に付着した時には、化学熱傷により皮膚が爛れて最悪な場合は皮膚
移植をする必要があります。少しでも付着した時には、直ちに水洗いを
して薬剤を洗い流すようにします。これを防ぐためには、雨合羽やゴム
手袋を使う事が重要です。
眼に入った場合も直ちに洗い流し、早々に使用を止めて眼科医に診断を
して貰うようにします。洗い流せば大丈夫と思う方が多いのですが、そ
う思う人に限って視力の低下などで苦しむ事になります。場合によって
は失明になる危険があります。それを防ぐためには必ず保護メガネを着
用します。普通のメガネやサングラスタイプは意味がありません。
吸い込んだ時には腹痛や下痢や内臓障害を起こすので、必ず防毒マスク
を着用します。石灰硫黄合剤は強アルカリ性なので、周辺に酸性物質が
あると化学反応を起こして有毒ガス(硫化水素)が発生します。
刷毛で塗ると人体に付着したり吸い込んだりする可能性が高いので、必
ず噴霧器で散布するようにします。石灰硫黄合剤の容器にも、使用方法
は「散布」と書かれています。散布とは噴霧器を使って薬剤を吹き付け
る事を言い、刷毛で塗る事ではありません。
石灰硫黄合剤には独特な異臭があります。卵が腐った臭いとか硫黄分を
含んだ温泉の臭いとかがします。他の薬剤の場合は3日程度で臭いは消
えますが、石灰硫黄合剤の場合は1週間以上の持続します。そのために
窓が開けられなかったり近寄れなくなる事があります。
石灰硫黄合剤を使用する時には、周辺の住民の事も考える必要がありま
す。使用前には周辺の住民に説明をし、了解を得る事が必要です。
地域によっては、密集住宅での使用を制限されている所もあります。
事前に役所で使用可能かを聞いて下さい。
刷毛で塗るとムラが出来ます。凸凹した部分を塗ると分かるのですが、
凹んだ部分は塗り残しが出ている事が分かるはずです。
噴霧器で散布すると凹んだ部分にも薬剤が付着しますし、薬剤の噴射口
が人体から遠くになるため、人体が害される危険が低くなります。
3mの高さを全て刷毛で塗るのは困難で危険です。完全に塗ったつもり
でも、実際には4割程度しか塗られていません。塗り残し部分の病原菌
は生きているので、石灰硫黄合剤を塗った意味がなくなります。
散布する範囲は、地際から枝先の天辺まで全てです。葉の裏表から枝か
ら幹まで全て散布します。
散布する時間帯ですが、天気の良い朝方の風の無い日を選びます。
ウドンコ病を駆除出来るのは石灰硫黄合剤だけではありません。他にも
使用可能な薬剤が市販されています。周辺の環境や居住状況を考えて、
判断された方がいいと思います。樹木の生育を優先させるのか、住民の
安全を優先させるのかを少し考えられた方がいいかも知れません。
僕は造園土木の会社に勤務していますが、ウドンコ病の駆除で石灰硫黄
合剤を使用した事は一度もありません。特に会社で使用しないようにと
通達が出ているわけではありませんが、やはり周辺の住民の安全の確保
を優先するため、使用は控えているのだろうと思います。
お礼
専門家の方のご意見、とても勉強になりました。ありがとうございます。 石灰硫黄合剤の使用については再度検討してみます。 書籍やサイトを見たところ、うどんこ病には石灰硫黄合剤が最も効果があるように思い、使用しようかと考えていました。ホームセンターでも普通に購入できるので安易に考えていましたが、近隣の方に迷惑がかかるのは避けたいと思います。 もしよろしければ同様の効果がある薬剤を教えていただけると助かります。