ネズミ・害虫防除を30年以上、業としている者です。
Q:.『ネズミは、市販の粘着式ネズミ捕りを認識しますか?』
A:人のように「ネズミ捕り」として認識しているハズはありませんよね。
まずは「異物」(経験したことがないもの、違和感を感じるもの)に対しては用心深くて、いきなり触ったりせず、避けると思います。
私の考えでは、「異物」として認識なければ、用心深くなることもないので、「異物」として認識されにくい罠なら、容易に引っかかると思います。
この考え方だと、ネズミがいつものコースで巡回したとき、「異物」を感じないまま、罠に乗り込んでしまえば、スピードが落ちないで、足に体重がかかった状態で粘着面に乗り、急激な減速やパランス崩れによって粘着面に倒れ込み、捕獲されます。
この考え方だと、粘着面に餌を置く必要はありません。ネズミがいつも通りの速さで歩くところに置くだけでかかります。
では、ネズミはどんなところを通るのか?ネズミに聞くしかありません。(笑…)
慣れてくればネズミの通り道が見えるようになりますが、素人の方でも、糞や齧りカスなどの物証があったところを中継点と考えてください。中継点にネズミがどのような経路で近づいてくるのか、その経路を推測して、ネズミ捕りを仕掛けてください。
私の経験でも、鼠取り(粘着板)を避けているとしか思えないネズミはいました。また、並べた粘着板の端を歩いて避けられてしまったこともあります。
キレイに並べて粘着板を配置していたので、思い切って乱雑に配置してみたところ、バッチリかかりました。
つまり、キレイに並べてある粘着板を「異物」として認識して、避けていたものが生き残っていた。しかし乱雑に置くと認識できず、ひっかかってしまうわけではないかと。
もしかすると、異物より一段上の認識、例えば「危険なもの」?というような認識レベルがあるのかも知れませんね。
なお、私のデータでは、ハウス型の鼠取り(内部に粘着板)は、粘着板だけ平らにおいた場合より、ネズミが捕れる効率が数倍悪いです。(ハウス型がネズミの目の前に現れると、まずは異物として認識して、だんだん慣れてくると掛かるのではないかと思っています)
従って天井裏や床下に置く場合は、平置きが良いです。
しかし、生活空間では手を触れたり、踏んでしまったり、物を落としたり、ホコリが被ったりしますので、ハウス型のほうが、長期間置きっぱなしにでき、扱いやすいでしょう。
ネズミ捕りと平行してやらなければならないのが、穴塞ぎです。
生活空間(室内)への出入り口を塞ぐこと、屋外から床下や天井裏への出入り口を塞ぐこと、つまり穴探しが必須です。
素人の方では注目点が分からないので探しきれない、自分が住んでいると先入観があるので穴を見つけることは難しいようです。
目安として、大人の男性の指2本がスルリと入れば、ネズミが通過する可能性があると思って良いと思います。
プロの業者に一度見てほしい、見積もって欲しい場合は、
各都道府県のペストコントロール協会に問い合わせてください。(保健所や市役所に相談すると、この団体を紹介されることが多いと思います。)
なお、毒餌は使い方が難しいです。あなたの家に出ているネズミは、あなたの家で食事をとっているとは限りません。住宅地では、ネズミの行動圏が数軒に跨がっていることが、分かってきています。
放し飼いのネコは、飼っていると思っている人のところで餌をとっていますが、ほかの大部分の時間は、飼い主?のもとにはいませんよね。
他のところで満腹になっていれば、餌場以外で突然現れた見慣れない餌は異物です。特にクマネズミは用心深く、なかなか食べないと言われています。
また、1グラムを1週間くらい連続で食べないと、効かない製剤が主流です。
なお、一部に食べても死なない(抵抗性がある)ネズミも出現し、研究者はスーパーラットと名付けています。