1.現時点の日本で武装革命は現実的でない。政権奪取を目指すとしても昔のままでは多くの国民の支持が得られない。まず、広く意見を聞いてもらうには、ある程度聞いてもらえるような内容にしないといけない。特に東欧革命の後、戦後の共産主義のイメージが失墜したこともあり、路線変更を唱える必要がある。
彼らなりの総括と、これからの生き残り+勢力拡大戦略の産物かもしれません。
パブリックイメージの革命の看板はとりあえず外したという事だと思います。
2.何も共産党は豊かさを望んでいないわけではありません。
元々、経済・社会・政治的に隷属させられている、貧困層が多い国において国の富を一括管理して平等に分配し、国民が一致団結して同じ方向を向き、国の豊かさを底上げしようという考え方です。
但し、既にある程度、食べれるようになったら、他の人並みに、あるいは他の人より幸せになりたい、贅沢したいと思うのが人間の性。国家の主義として共産主義を継続し続けて意味があるのかについて、私自身は疑問を持っています。
また、共産主義者の方々はいわゆるイデオロギーに論争に陥りがちです。
富や金は悪だ、という考えの人は多いと思いますが、根本的にはこれは共産主義ではありません。
今の日本共産党ではこの考え方の人は除名されていますが、毛沢東派などの考えは貨幣経済を否定し、富=金を断ち切る考え方の人もいます。
3.まだその段階ではないと言ったらよいでしょうか。
彼らはやっと、まじめに政権参加を考え出したと思っています。
純粋な考え方を通そうとして、一生誰にも相手にされないか。
ある程度の妥協をもって、自分の考え方を1%でも政策として実現できるようにするのか。この選択です。彼らは後者を選択したのだと思います。
そもそも、聞いてもらわなければ意味がない。武装路線を完全に否定したこととも言えます。
ある程度の議席をもって、政権に参加できる機会が現実にあったときには、きっとそのように言うでしょう。
4.結社を禁止するという意味であれば、どんな政党でも地下に潜るでしょう。そして、禁止されたらどのような思想の人でも中には武装闘争を考える人が出てくるでしょう。
国民の支持が得られなくて、議席がなくなる場合には、別に地下に潜る必要はない。ちまちま努力するのみです。
5.今でも一定の支持を得ていると思いますが。
但し今の彼らが本来の「共産党」であるかどうかについては、疑問です。
「共産党」だと支持が得られないし、現実的に無理であることは分かっているからこそ修正し出したのだと思います。
いわゆる「左翼」勢力の結集を狙っているのではないでしょうか。
今、資本主義、共産主義双方に勝利者は居なく、修正や模索が必要な時代だと思います。名前ではなくて、共産主義を源流とした、何かの新しい思想を作り出してくれたら良いのではないかと僅かな期待を持っています。
ちなみに私自身は日本に共産党は今必要ないと思ってはいます。
現時点では原理原則を叫ぶ共産党に意味は限りなく薄くなっているのでしょう。しかし、そのような考えをルーツに持つ人たちは必要だとも思います。
それから、日本人はブランド好きなので、「自由」がない看板の共産党の支持は少ないですが、日本の国自体元々社会主義的な社会構造と習慣を持った国です。(社会主義的なのか国家社会主義なのかという右と左で一見違う主義ですが、どちらも似た社会システムを持っています。そのような構造を日本が自然に持っているという意味です。)政官財の関係、社会システム、談合システム、人付き合い等々どれをとっても法には明記されていない独特の社会主義的な感覚を持っています。自民党の政策にしても表向き保守の看板で、国と企業に資本関係が無かったりしますが、国民もお上の言うことには盾突かないですし、やってきた事は社会主義的です。事実上の一党独裁ですし、多くの国民も自民党以外の政党に投票することにかなりの抵抗を持っています。気がつかない人も多いですが、自然に社会主義的なんです。では日本共産党は何もんだと云うと、ヨーロッパ源流のちょっと不自然で、自称・科学的な社会主義なんだと思います。
イデオロギーや看板でモノを見ると本質が分からなくなります。
昔、ソ連が崩壊したときに、あるソ連高官が寂しそうに語っていたのを思い出します。我々は日本になりたかった。日本は豊かで調和が取れ、理想の社会主義だと言っていました。
お礼
結局は共産党の存在意義をどう評価するかが意見の分かれるところでしょう。私は豊かな社会に革命を成就させない共産党など、全く不必要かつ無意味だと考えています。共産党は貧しく階級格差の大きい社会(欧州や南米)でこそ支持され、日本のようにもとより平等に近い社会にはそぐわない存在といえるでしょう。わが国において支持を拡げたいならば、貧しさを強調し、奢侈を戒めなければなりません。大多数の国民がこれに賛同しないなら、表立った議会活動よりも、国民への啓蒙、国家への転覆工作、スパイ活動に重きを置く反体制集団として暗躍すべきだと思います。まともな手段で議論しても勝ち目がないなら、せめてその矜持を強く保つべきです。冷戦終結後はもちろん、もとより戦後以降から時代錯誤の存在なのですから。自分達のプライドだけを考えるなら、現状を追認するのはもっての他、国民を奈落の底に突き落とす覚悟で、資本主義破壊を敢行せねばなりません。野坂参三も帰国後に、ご指摘のソ連高官と同様の感想を漏らしています。つまり共産党は無用の長物です。ありがとうございました。