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曲名が変わる協奏曲
協奏曲は楽曲の形式だけでなく曲名でもあると思いますが, 例えば,バッハ: ピアノ協奏曲(原曲 チェンバロ協奏曲)は, さらには原曲はヴァイオリン協奏曲…と複雑です。 チェンバロ協奏曲まではバッハ本人の編曲なのでいいとして, ピアノ協奏曲という名は私には抵抗があります。 バロック期の協奏曲は独奏楽器によって○○協奏曲と曲名を 変えられてしまうことが多いように思います。 原曲名が記されていないこともあります。 このように作曲者も知らないところで勝手に(?)曲名を変えて しまうことはクラシック界では問題にされることはないのでしょうか。 または,個人的には気にならないものでしょうか。 それと,モーツァルトのフルート協奏曲(原曲 オーボエ協奏曲), ベートーヴェンのピアノ協奏曲ニ長調(原曲 ヴァイオリン協奏曲) のように作曲者自身が協奏曲から協奏曲へと編曲したものは ベートーヴェン以降にもあるのでしょうか。
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こんにちは。 前半のご質問については,ピアノで演奏しているのに曲名がチェンバロ協奏曲となっているのもなんともいえない違和感があるし,難しいところですね。 個人的には,できることならCD等には資料としてきちんと書いておいて欲しいけれども,なければないでしょうがない,という程度でしょうか。また,クラシック音楽界として問題にされているかどうかは存じません。 慣習的なものには比較的おおらかな業界とも思うので,分かる人には分かるんだからいいんじゃないの?・・・という感じもあるのかもしれません。(注:これは単なる憶測です。もしかしたらちゃんとしたアカデミックな根拠があるかもしれません) 後半については,本人編曲とは言えませんが,一応作曲家本人公認としてこちらを。 ☆ハチャトゥリアン フルート協奏曲 著名なフルーティストのランパルがハチャトゥリアンに協奏曲の作曲を依頼したところ,「ワシはもう年寄りだから作るのは無理じゃ。ヴァイオリン協奏曲をフルートで吹いといたらよかろう。」と言われたとか。(口調は適当に書きました^^;) ランパルの録音はもちろんありますし,他にも確かゴールウェイやパユの録音があるはずです。 また,協奏曲ではありませんが, ☆ブラームス クラリネットソナタ&ヴィオラソナタ (今Wikipediaで調べたらブラームス自身がVn版も作っているらしいです) は比較的有名な例ですね。
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- uni37
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専門家ではないのでうろ覚えですが、おおよそ次の通りと記憶しています。 第一にバッハの時代およびそれ以前は楽器の指定が必ずしも厳格ではなく、ありあわせの楽器編成でだいたいのところをそろえて演奏することがむしろ一般的でした。これは、当時の演奏が「演奏会」ではなく貴族のサロンや教会などでBGMや宗教的目的などのために行われることがほとんどで、音楽が独立した芸術として確立していなかったという事情が背景にはあると思います。また、独奏楽器の位置づけもモーツァルト以降のようにアンサンブルから完全に独立したものとしては必ずしも考えられておらず、さらに「協奏曲」という言葉の意味自体も現在とはやや異なるものだったと思います。たとえば、バッハの「イタリア協奏曲」はチェンバロ独奏曲です。また、同じくバッハの「管弦楽組曲」には独奏楽器が活躍する楽章がありますが、協奏曲とは扱われていません。 したがって、鍵盤楽器の協奏曲にいちおう「チェンバロ協奏曲」と名前がついていたとしても、もともと楽器の選択は演奏者側の裁量がありうるのだと思います。そうなると、曲目をどう表記するのかもあまり厳密にはならない可能性があります。 これに対してモーツァルト以降(ハイドン以降? このあたりは多少あいまいです)は、作曲者が厳密に楽器を指定することが一般的です。したがって、作曲者が指定した楽器以外を用いる場合は基本的に「××協奏曲の○○版編曲」などといった表記になります。ただし、作曲者自身がその編曲を手がけた場合は微妙で、たとえばベートーヴェンはヴァイオリン協奏曲を自身がピアノ協奏曲に編曲していますが、これについては「ピアノ協奏曲」と呼ばれることもあります。ハチャトゥリアンのケースも「作曲者の公式の許諾がある」ということでこれに準じると考えられているのでしょう。 ただ、現実にはCDや演奏会チラシなどの表記は、販売戦略上の思惑もあって「わかりやすい」あるいは「うけやすい」表記が音楽史的な厳密さとは無関係に用いられることがむしろ一般的です。たとえば、協奏曲ではありませんが、ドヴォルザークの交響曲第8番「イギリス」やショスタコーヴィチの交響曲第5番「革命」といった交響曲の表題は、作曲者がまったくあずかりしらないところで、曲の内容とも無関係に楽譜業者などが勝手につけたものですが、今日でもしばしばCDの表紙や演奏会チラシに表記されています。ハチャトゥリアンのケースも、厳密には「ヴァイオリン協奏曲のランパルによるフルートへの編曲」ですが、そういうとランパルが勝手に編曲したとうけとられるので、「フルート協奏曲」と表記しているというのが実際でしょう。 音楽史の教科書などにあたって書いていませんので厳密に正しいかどうかは保障できませんが、参考になれば幸いです。
お礼
>バッハの時代およびそれ以前は楽器の指定が必ずしも厳格ではなく、 協奏曲に限らず,同じ曲のヴァイオリン演奏があったり,リコーダ演奏があったり, その頃からの習慣的なものかもしれませんね。 当時の作曲家たちが生きていた頃には,別の楽器による演奏(編曲)が 日常的に普通に行われていたかもしないとも思いました。 演奏可能であれば,独奏楽器によって○○協奏曲と名が変わることも, 当時としては普通のことだったかもしれません。 だからバロック期の協奏曲なら独奏楽器が変わり,曲名が変わることが 現代においても習慣的に認められているのかもしれませんね。 イタリア協奏曲は,曲名に独奏楽器名が入らず,演奏スタイルも 独奏楽器とオーケストラではなく特殊なものですね。 バッハのチェロ組曲では,サキソフォンによる演奏やテオルボによる演奏でも 名前はチェロ組曲と呼ばれます。Cello Suite.1 for Theorbo のような 表記の仕方に倣って,Cembalo concerto for Piano のような言い方が 誤解がなくていいかなと思いました。 作曲者による楽器の指定に厳格なものが有る場合,無い場合, 詳しくありがとうございました。
お礼
ランパルとハチャトゥリアンの話は知りませんでした。 フルートでの演奏も聴いたことがありません。 曲名は,やはり「フルート協奏曲」ですね。 どういった言い方がよいのか考えてみましたが, フルート演奏によるハチャトゥリアン:「ヴァイオリン協奏曲」が, 正直な言い方のように思いました。 以前にアマチュア団体の演奏会で原曲名が記されていないものがありました。 原曲はヴィヴァルディの調和の霊感だと分かりましたが, 知らなければオリジナルの協奏曲だと信じてしまうところです。 頭が固いのかもしれませんが,バッハ:ピアノ協奏曲という名は 素直に耳に入らないです。 その反面,協奏曲が少ない楽器にとっては,そうでもしないと 仕方がないのかなと思うこともあります。 協奏曲名(独奏楽器)は何でも自由ではなさそう…ということも なんとなく感じています。暗黙のルールのようなものでもあるのかと 思うこともあります。あるいはクラシックの常識というものでしょうか。 私が知らないだけで実際にあるのかもしれませんが, もし,こんなものがあれば, ヴィヴァルディ:クラリネット協奏曲…違和感 バッハ:シンセサイザー協奏曲…反感 ハイドン:エレキギター協奏曲…冗談? ハチャトゥリアン:フルート協奏曲 どんな風に変身しているのか機会があれば聴いてみたいです。 ありがとうございました。