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憲法の解説書
ご覧頂きありがとうございます。 法学部に所属しております一年生です。 私の大学の政治学科のカリキュラムでは、前期に「法学基礎」という授業があり、後期に「憲法」という授業がありまして、3週間前からその憲法の授業が始まりました。 今までは、授業の復習は、レジュメと大学の図書館で済ませていたのですが、やはり一冊憲法の解説書を手元において、じっくりと勉強したいという気持ちが強くなりました。 そこで、数多くある憲法の解説書の中で、特にお薦めのものを教えて頂けないでしょうか? 但し、私は法学ではなく政治学を専攻しております。芦部信喜先生の「憲法」等は司法試験受験者も使うと聞いたのですが、私は司法試験を受けるわけではないので、その点を考慮して頂ければと思います。 図書館で見たところでは、松井茂記先生の「憲法」(有斐閣)がよさそうだと思ったのですが(特に理由はなく、なんとなく雰囲気が勉強意欲を誘うというだけですけれども)、この本はいかがでしょうか?
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失礼ながら、求める文献を憲法の「解説書」と表現しているところに、自分で学習の射程を絞り切れない様子が感じられます。換言すると、憲法とは何かというおぼろげな全体像もイメージしないままで、講義に臨んでいるということです。 一口に憲法に関する解説書といっても、「3日でわかる憲法」のような安直な入門書もあれば、通説的なテキスト(教科書)や体系書、注釈書(コンメンタール)、演習書、憲法辞典などに分けられるし、市販の判例集もスペースの半分は解説の記述であり、そのスタイルは様々です。どれを選ぶかは、自分が目指す学習の深度によって異なります。 講義に即した視点で考えれば、担当教員が推奨する文献が一番です。これは、間違いありません。 ただ、“憲法をじっくりと勉強したい気持ちが強い”とか、“学術書は堅い方が好き”という書き込みから察すると、概説的なテキストよりも1ランク上の書籍を望んでいるように感じます。 いわゆる「芦部憲法」については、No.2の方が仰るように、現状では最も通説的なテキストです。これは、No.4の方が仰るように、元々は放送大学の講義録なので、ガチガチの学術書というよりも、どちらかといえば一般向けの啓蒙書という位置づけに近いものです。 これが、(旧)司法試験の受験参考書として人気があったのは、理論構成が簡潔・明快で余分な記述がないからです。司法試験を受ける要点は、余計なことを覚えずに必要な知識を効率よく詰め込むことなので、ああでもない、こうでもない、と抽象的な理論を振りかざす専門書は敬遠されたのです。 そのため、No.3のような専門家の方には、行間が多くて逆になじめないということになるわけです。 まぁ、客観的にいえば、「芦部憲法」を持っていれば十分かと思いますが。 大学図書館を利用すべしという意見がありますが、当然ながら利用頻度の高い文献は常に貸し出し中になっているし、反対に誰も利用しないカビ臭い古本を手にすることには、それほどの価値を感じません。 それよりも、大学生協の書籍コーナーや大手書店の法律書コーナーには、憲法に関する書籍が豊富に揃っているので、それを手に取りながら売れ行き・トレンドを自分で確認する方が有益です。 つまりは、このようなサイトで不特定の人に質問するよりも、自分の手で選ぶのが最も勉強になるということです。学生さんにとっては、このことが「メディア・リテラシー」の観点からも重要です。 さて、憲法は人権規定と統治規定から構成されていますが、政治学との関連では特に後者が重要です。いわゆる三権分立の原則から、日本の政治機構の根幹を定めた規範だからです。 政治学の学習にあたって、憲法の概念を参照するために座右に置くとすると、やはり「芦部憲法」では物足りないでしょう。かといって、図書館の蔵書にある10巻セットの体系書のような物を購入するのは実用的でないです。 そこで、ほどほどのページ数で内容的にも質が高いのが、「基本法コンメンタール 憲法(第五版)」です。 図書館にあるコンメンタールは分厚いハードカバーですが、これは雑誌扱いなので安価で携帯にも適しています。なおかつ、条文毎に最新の見解(学説・判例)が記述されているので、数冊分の体系書にも匹敵します。 疑問が生じる度に該当条文の解説を読むというスタンスで、大概の問題は解決します。手元に置いて損はありません。 ちなみに、私は、当サイトでの国会や内閣に関する質問を、このコンメンタールを基にして回答することがありますが、とても参考になります。
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- kanpyou
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岩波の芦辺憲法は放送大学の教養課程のために書かれたものなので、浅く薄くという感じで、法学部の専門課程にとっては物足りないでしょう。 有斐閣双書の憲法(1)~(4)の該当箇所を、図書館で確認したほうが実用的だと思いますよ。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >芦辺憲法は放送大学の教養課程のために書かれたもの そうだったのですか?初耳です。 図書館にある書物は、もちろん有効活用するつもりです。ただ、私の大学の図書館は日曜日は閉まってしまいますし、貸し借りを繰り返すのも手間がかかるので、一冊手ごろな値段で買えるものがあるといいなと考えておりました。
- 17891917
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憲法について,興味を呼び覚ましてくれるテキストとしては,浦部法穂(うらべのりほ)先生の『全訂 憲法学教室』(日本評論社)があります。 外装は一見テキスト風ですが,中身は浦部先生の歯切れのよい主張の展開で,憲法を題材とした読み物という感じです。 芦部先生の『憲法 第四版』もいいのですが,「行間」が多すぎて,私にとっては,はっきり言って読むのが苦痛です。
お礼
ご回答ありがとうございました。 図書館で目を通してきました。確かに読みやすさでは随一という印象を受けました。ただ、個人的に学術書は堅い本の方が好きなので、ちょっと私には合わないかもしれないです。
- fregrea
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こんにちは。 芦部信喜『憲法』をオススメします。 この本は、確かに司法試験受験生も使いますが、それは 芦部先生の文章が素直で読みやすく、かつ、通説的であるため 司法試験の論証の文章に転用しやすいという理由からです。 決して、内容が難しいというわけではありません。 今述べたとおり、芦部先生の『憲法』における記述は非常に分かりやすく、 内容も通説的です。(というか、芦部説が通説です) とすれば、初学者である質問者様が使用するにはうってつけと言えます。 あくまで私の意見ですが、政治系といえど法学部卒で芦部『憲法』を知らないというのは、モグリだと思います。 なお、芦部憲法は行間を読めといわれるほど、深く読みこなすと非常に高度な内容も含まれています。 しかし、初学者が読む際にはそのあたりは深く気にせず、文章を素直に読み込めばよいかと思います。 最後に、松井茂記先生の単著での『憲法』を探すことができませんでした。 書誌情報を補足していただけたらと思います。 以上、参考になれば幸いです。
補足
書誌情報が不足して申し訳ありませんでした。 松井茂記「日本国憲法 第3版」有斐閣 です。 現在私の大学の図書館の、芦部先生の「憲法」が全て貸し出し中になっている為、授業の復習にこれを使用しています。 もっとも、授業の内容は芦部説に沿って行われていますので(教授がそう明言しています)、所々授業内容と食い違う所があるのですが、個人的には非常に読みやすく、また判例の解説が充実しているので気に行っています。
憲法(1)、憲法(2)有斐閣 野中俊彦、高橋和之、中村睦男、高見勝利 満遍なく基本を抑えられると思います。使ってる人多いんじゃないでしょうか?また、初学者にも読みやすいです。2日~3日集中すれば、(1)と(2)を通読出来ると思います。 松井先生の本は良く知りません。 芦辺憲法は、みんな持ってるみたいですが、全体を満遍なく勉強するには少し、物足らないところもあります。
お礼
ご回答ありがとうございます。 確かに芦部先生の「憲法」は(松井茂記先生の「日本国憲法」と比較して)少し物足りなく感じていましたが、推薦してくださった本はかなり詳しいようですね。今日図書館で目を通してまいりました。(流石に3日で通読は難しそうですが・・) 参考になりました。ありがとうございました。
お礼
とても丁寧な回答、ありがとうございました。 >つまりは、このようなサイトで不特定の人に質問するよりも、自分の手で選ぶのが最も勉強になるということです。 仰る通りですね。大学受験の時は、参考書選びの為に本屋さんに1時間でも2時間でも居すわったタチなのですが、大学での専門の勉強の勝手をまだ習得し切れていない為、こんな質問をしてしまいました。 「基本法コンメンタール 憲法(第五版)」、先ほど図書館で見てきましたが、非常に使いやすいですね。文体も読みやすく(私好み?)、内容も充実していてとても満足しました。 しばらく授業の復習にこれを使用して、購入するのはもうしばらく他の書籍と比較してからにしようと思いますが、とても参考になる回答でした。ありがとうございました。