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海外滞在期間の住民税に関する行政実例や通達の法的拘束力とは?
- 海外に一年以上滞在した場合、1月1日に海外に居たとしても出国前の在住地に住民税を払わなければならないという行政実例があるが、これは税法ではなく行政実例からの引用である。また、1年以下の海外滞在の場合は出国前に転出届を出していても住民税免除はできないという通達がある。
- 具体的には税法のどの条文に書かれているかは明記されていないが、行政実例や通達は市民に対して法的拘束力があり、従わなかった場合には懲罰がある可能性がある。
- 今のところ市からは住民税納付書は来ていないが、住民税の徴収は前年度の収入を元に翌年1月1日の在住地から徴収されるため、具体的な税額が決定された後に納付書が送付される可能性がある。
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質問1.区役所税務課Aさんの発言のような「住民税は1月1日時点で住民登録のある自治体から課税されます。」という内容は具体的には税法のどの条文に書かれているのでしょうか。 答 都道府県民税については,地方税法39条,市町村民税については,同法318条に規定されています。 【地方税法】 (個人の道府県民税の賦課期日)第39条 個人の道府県民税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする。 (個人の市町村民税の賦課期日)第318条 個人の市町村民税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする。 質問 2.区役所税務課BさんによればBさんの発言は税法ではなく「行政実例」という文書からの引用でした。また財政局市民税係Cさんの発言も「自治省からの通達」であり税法で述べられていることではないとのことです。これらの「行政実例」や「通達」は納税者である市民にとって実際どれくらいの法的拘束力があるのでしょうか。従わなかった場合(住民税を支払わなかった場合)懲罰はあるのでしょうか。 答 「通達」とは,国家行政組織法に基づき,各省大臣,各委員会及び各庁の長官がその所掌事務に関して所管の諸機関や職員に命令又は示達する決まりごとの一種をいいます(国家行政組織法14条)。 多くが法令の解釈,運用や行政執行の方針に関するものです。 「行政実例」とは,法令の解釈・運用について所管省庁の見解を示したもので,通知・通達等とは異なり,都道府県・市町村からの照会に対して所管省庁が回答するという形式をとるものです。 行政庁の有権解釈であるとされ,本来,特定の具体的な事件の解決のために示されるものですが,実際には,同種の事件の解決のために参考にされます。 「法律」が,基本的に国家・地方公共団体職員のみならず「一般国民」も守る義務があるのに対し,通達や行政実例はあくまで国家・地方公共団体職員を規律するもので,一般国民はそれらに拘束されません。 そこで,「法的」には,「通達・行政実例違反を理由に」国民が罰則を科されることはありません。 ただし,地方公共団体は,法の統一的運用のために,「事実上」通達・行政実例に従って法律を「解釈」しますので,地方公共団体の行為を通じて,国民は通達・行政実例に事実上拘束されることになります。 具体的には,地方公共団体職員の言うことに従わずに住民税を支払わなかったら,市町村から滞納処分を受けることになります。 重ねて言いますが,それは,法的には,「通達・行政実例に」違反したからではなく,市町村が「地方税法に」違反したと「解釈」するからです。
お礼
詳細にいたる解説いただきましてありがとうございました。