発電と消費のバランスは常に一致しており、どこかで余った電力を捨てているというようなことはありません。
発電と消費のバランスの変化は瞬時に周波数(50Hzまたは60Hz)の変化となって現れます。
東京電力の場合は周波数が50Hz±0.2Hz以内になるように発電電力を需要にあわせて調整しています。
もし、発電と消費のバランスが崩れて、周波数が大きく変化すると、発電機や各種の負荷設備は正常に動作できなくなり、停電が発生します。
最悪の場合はかつて、ニューヨークなどで発生したような大規模停電につながります。
電力の需要は昼と夜で大きく変化します。また、季節でも変化します。ちなみに夏は冷房の需要が大きく、東京電力の場合、気温が1℃あがれば、大型の原子力発電所1基以上に相当する分の電力消費が増えます。
この需要変化に備えるため発電の設備は考えられる最大の電力消費でも絶対に足りなくならない規模を確保していますが、実際に最大となる時間はせいぜい数時間程度で、その他の時間は発電機は発電をせずに待機していることになります。ところが、原子力発電や大型の火力発電は短時間に発電を止めたりできなかったり、出力を落とすと発電効率が下がったりします。
また、建設に莫大な費用をかけているので、稼働率の低下は経済性の悪化につながりますので、電力会社は夜間に電力需要が少なくなる時間帯でも原子力発電や大型火力は最大出力で発電を続けたいわけです。
このために揚水発電で夜に水をくみ上げ、昼にその水を使って発電することにより、昼と夜の需要差を緩和させたり、夜間電力を昼より安く設定して、なるべく夜に電気を使ってもらうようにしているわけです。 このことを「夜中に電力が余る」と表現しているのだと思います