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上演権・著作権の範囲
- 作/演出家の某著名人(X氏)の作品、芝居の物語のベースは宮沢賢治の作品である、を10余年前に潤色し上演したY氏。
- X氏独創の登場人物と台詞を外し、宮沢賢治の物語と、Y氏の潤色したときの創造物(思想や台詞も含め)、そして新たな思想とで上演しました。
- プロットはほぼX氏のものですが、もとが宮沢賢治の作品という事をふまえると、自然と演出も重なってくるので明確ではありません。この場合、著作権に関係してくるのでしょうか。
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たぶん参考にされたのは私の以前の回答だと思うのですが、この点について。 たとえば「どんぐりと山猫」という作品があります。 この話は一郎の家に手紙が来るところで始まり、一郎が家に戻るところで終わります。 そして、物語の話者は、概ね一郎にフォーカスをあてる形で話を進めていきます。 これが、この作品で「表現されていること」の時空間的限界です。 しかし、読者は、この限界の外、この枠の延長線上にも何かしらの物語を見いだしているかもしれません。 たとえば、一郎が家に戻ってからの山猫とどんぐりの物語、あるいは、一郎がいない間の一郎の家の物語。 これらの物語は「どんぐりと山猫」では「表現されていない」物語です。 しかし、これらの物語は、同時に「どんぐりと山猫」の「作品世界」や「登場人物の造形」を使っていることになります。 「表現されていること」=「著作物」ですから、作品の利用が「表現されていること」の範囲内にかかる限り、それが著作物の利用とみなされる可能性はあります。 一方、「表現されていない」部分にもっぱら即して新しい作品が作られたのなら、著作物の利用には当たりません。 これが、以前の回答の趣旨です。 ただ、この手の「二次的著作物」(他人の著作物を翻案/脚色等した著作物)の問題は、最近でも「キャンディ・キャンディ訴訟」などがありましたが、「著作物」の本質に踏み込むものだけに、判断が難しいところではあります。
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- north073
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ご質問を拝見する限り、難しそうな問題です。どうお答えしたものかと思ったのですが、自信がないなりに少々。 「作品世界」や「登場人物の造形」は保護の対象となりませんが、物語自体は著作物として保護の対象となります。 もし、X氏の作ったセリフなどを外したとしても、物語の組み立てにX氏の独創が残っているようであれば、経緯からしてX氏の著作物(=宮沢賢治の物語を脚色した物)を利用したと言われるおそれはあります。 気にかかるのは、「自然と演出がかさなってくる」という点ですが、当該作品の演出は誰がやってもそうなる、というわけではなく、X氏の先行作品がある状況であれば、X氏の作品を利用した可能性を否定するのには足りないように思います。具体的な状況はわかりませんので、あくまで私の印象です。
お礼
ご解答ありがとうございます。 「物語の組み立てにX氏の独創が‥」という点ですね。。確かに一部分残っています。では、私の参考にした「物語の構想を真似ても〈表現したもの〉が違えば対象にならない」というのはどう解釈したら良いのでしょうか。プロットを真似たものというものはたくさんある、というより物語の設定や演出や、そういうものは既に出尽くしていると言っても良いとのでは… ただ違うのはそこで表現したいもの、思想やテーマや、ではないかと私は捕らえているのですが… 「自然と演出がかさなってくる」という点は、例えば人と自然との共生という宮沢賢治のテーマがあって、少女が出てくるとしましょう。そこは自然の中で溌剌とした人の子を描きたいし、またそうなると「歩く」より「駆ける」の方が相応しいシーンもある、という感じです。表現のことなのでかなり説明しにくいですけど(笑) 今ひとつ飲み込めないのでよければアドバイスくださいm(_ _)m
お礼
なかなか難しい問題でしたが・・・おかげさまで、私なりにある程度の理解ができたと思います。 問題の件での意見書から、『「表現されていない」部分にもっぱら即して新しい作品が作られたのなら、著作物の利用には当たらない』に相当すると思われます。 ご回答ありがとうございました。