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反倫理的な行為に伴う利益の損害からの控除について

最高裁は,今月10日,五菱会系のヤミ金事件判決で,「支払った元本も損害」として損害賠償請求を認めました。 さらには,24日,投資詐欺の被害者による損害賠償請求で,「被害者が受け取った配当金を損害額から相殺することは許されない」としました。 この最高裁の,「反倫理的な不法行為の被害者が利益を得ていても,その分を損害額から控除できない」という理屈がどうしても分かりません。 いかに不当な行為があったとしても,元本や配当は被害者の元にたしかに行っているのだから損害から差し引くべきではないですか? 説得的な説明ができる方,説明をよろしくお願いいたします。

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  • mano5
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回答No.1

10日の判例も24日の判例も、民法708条の不法原因給付の趣旨に反するとして、「反倫理的な不法行為の被害者が利益を得ていても,その分を損害額から控除できない」としました。 そもそも、708条は、「自ら社会的に非難されるような行為をした者が、その損失を取り戻す上で法的救済を求めることはできない」というクリーンハンズの原則が趣旨となります。 そこで見てみると、借主(原告)は、「借りた金を返す」という極めて当然の行為をしただけであって、「自ら社会的に非難されるような行為をした」ということはできません。 また、「ヤミ金自体への返済」が社会的に非難されるような行為というには無理があります。なぜなら、ヤミ金いえども「法定利息の範囲内」での営業であれば、返済義務があるからです。 したがって、「元本や配当は被害者の元にたしかに行っている」としてもそれは、法律に従って返還されたにすぎず、不法行為を追及する上で、これを損益相殺の対象とすることは、許されないと判示したのだと考えられます。

17891917
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 判例全文を読む労を惜しんでいるので,708条が引用されているとは知りませんでした。 つまり,たとえば,「ヤミ金は,100万円被害者に貸し付けることで,100万円の元本と20万円の適法利息と300万円の違法利息を得ている。ここで,100万円は,ヤミ金の暴利行為の口実作りのために,『元本の貸付け』という体裁でなされた,不法原因給付と同様の給付である。よって,ヤミ金は,708条の趣旨により,給付した100万円の返還を請求できない。よって,被害者において損益相殺されることはない。」という理屈ですね。