>クワガタが逃げ出して、それを他人が採集した場合、それが自分のものだと証明出来たら、取り返すことが出来ますか?
原則としては所有権に基づく返還請求をすることができます。ただし、次のいずれかに該当する場合は、返還請求ができなくなります。
1.他人が飼育していた「家畜以外の動物」について他人が飼っていた動物であることを知らないで占有を開始し、かつ、その動物が逃走してから一ヶ月以内に飼育者から返還請求がない場合。(民法第195条)
クワガタが「家畜以外の動物」に該当するかが問題となりますが、一般的には「家畜以外の動物」に該当すると思われます。ただし、クワガタの種類や他人が採取した場所によっては「家畜以外の動物」にはあたらないと解する余地は十分にあるでしょう。余談ですが、九官鳥は家畜以外の動物にあたらない(つまり、民法第195条の適用がない。)という有名な古い判例(昭和7年の大審院の判決)があります。
2.採取者が、遺失物法に従ってクワガタを遺失物として届出をして、公告後三ヶ月が経過した場合。(民法第240条)
3.時効により取得した場合。ただし、時効により取得するには短い場合でも10年間は占有しないといけないので、クワガタの寿命を考えると実際には問題になることはないでしょう。(民法第162条)
民法
(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
(動物の占有による権利の取得)
第百九十五条 家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。
(遺失物の拾得)
第二百四十条 遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。
お礼
詳しいご説明有難うございました。