ほかにも「妻」とか「家内」とか、ご自分のパートナーという立場を伝えるための色々な言い方があるのに、どうしてわざわざ年齢を伝えるのが目的のような「ばあさん」などという言葉を選ぶのですか?
ご主人の、「68歳は年寄りだ。だからばあさんと呼んでも構わない」という態度について奥様は頭にきたのだと思います。
老婦人、おばあさん、お年寄り、これらはいずれも客観的に年齢層を伝えるために使われる言葉ですよね。
わざわざ年齢を意識させる必要がない時に使うのはデリカシーがないと思います。ましてやご主人が知人に話される時は、新聞など介していないのです。ご自身のクチで表現するんです。大事な人が、他人に自分のことを、決してきれいでない言葉で表現していると知ったら誰だっていくらか悲しみます。
よくテレビなんかで、「全盲の歌手」とか、へんな形容詞をつけてますよね。「歌手」でいいじゃないですか。全盲であることより、歌のすごさを形容すればいいじゃないですか。
それと同じです。「うちの家内」って言えばいいじゃないですか。わざわざ「うちのばあさん」なんて、年を意識させる言葉を使う必要ないじゃないですか。
68歳はどう書きますか、なんて質問はトンチンカンです。揚げ足取りです。「ばあさんにばあさんと言ってなにが悪い」とでも言いたそうですね。でも、これはそんな話ではありません。呼び名における「適切な表現」というのは、往々にして「関係」から作られます。
どう呼んだら嬉しいか、どう呼んだら悲しいか。想像してください。「いや、自分はじいさんと言われても平気だよ。だってじいさんだもん」なんて話もしてません、あなたの奥様が、大事な人からどう呼ばれたら不快ではないのか、もう一度よく考えてください。お願いします。
なんだかすごく悲しいです。