人それぞれだと思うので、
学部や修士とは異なる点で、私が個人的に強調しておきたいことだけ書きます。
(1)研究に責任を持つ。・・・修士の頃だと教授の指示に従ってればそこそこなんとかなりますが、博士はそうはいきません。修士は「努力賞」程度にしか見られない世の中の傾向が最近はありますので、博士はそれなりに自主的に問題解決をすることができる人として、卒業後に遇されます。博士課程はある意味その訓練みたいなものといえます。
(2)英語を使いこなせる。・・・英語の論文をしこたま読みますし、外国人との交流の機会も修士までよりも多くなると思います。国際会議で英語でプレゼンすることもあるでしょうし、自分で英語の論文を書くこともあります。ですから、そういう経験をこなしている博士は英語がそれなりに使える(読んでしゃべれる)とみなされます。そういうことを頭に置いて、日常的に英語を使う必要があります。
(3)収入がない。・・・あたりまえですね。20台後半になって無収入というのは、ちょっと寂しい気持ちになります。もちろん、バイトを両立して頑張る人もたくさんいますが。それを乗り越える強い意志が日常必要になります。上手くいけば、奨学金があたったり、学振などの奨励金を取得することも出来ますが、運と実力次第です。
(4)論文を書く。・・・博士は国内外の学術誌に論文を投稿する必要があります。修士でも本来は一つくらい書くべきなのですが、なかなか最近はそうもいかないです。博士では論文を書かないと卒業できませんので、執筆活動がかなりのウェートを占めるようになります。作文が上手になります。
(5)時間がルーズ。・・・悪い意味ではありません。同世代の働いている人とは違って、自分の時間は作りやすいです。それを利用して、たとえば短期の海外留学をしたり、日中の安い語学学校に通ったり、というメリットはあります。いわばコアタイムのないフレックスタイム制です。もちろん、朝弱い人は昼から仕事を始めることもできます。ただし、社会に出てから生活のリズムをかえるのは大変なので、あまりオススメしませんが。
(6)かならずしも大学の先生にはなれない。・・・昔は博士になると大学の先生、みたいなレールがあったのですが、今は、ポストに空きがすくないので、そうはいきません。会社でも博士を取得した人に求められる役職は増えています。ですから、学部生などに混ざって就職活動したりとかもします。あと、就職後の新人研修では、結構若い新人に混ざって一人だけ年寄りだったりして、ちょっと寂しかったりするそうです。(もちろん、そのときだけですけど)
(7)教授とは一生のつきあい。・・・指導教官はいわば師匠ですし、同じ専門分野の研究者でもありますし、公私ともに一生のおつきあいは続くと思います。○○教授のところで博士をとった、というのが一つの肩書きみたいになりますし、就職も教授の紹介やつてなどが大きくものをいいます。
(8)後輩の相談役。・・・教授と学部生、修士の学生の間にたって相談に乗ることも多くなります。
(9)研究室に住む。・・・長く研究室にいるわけですから、荷物が増えます。1日の大半を研究室で過ごすわけですから、ある意味生活をすることになります。学部生とは違って、広い机やスペースを与えてもらえる場合も多いです。
(10)学会の会員になる。・・・修士くらいなら会費がもったいないから、と入会をしないことも多いですが、その分野で博士をとろうとするなら、その学会にいくつか入っておくことを勧められると思います。学生会員ですから安く入れます。もしマイナーな学会で博士の学生が少なかったりすると、結構可愛がられます。エッセーを学会誌に書いてくれ、といわれたりすることもたまに。
お礼
詳細にありがとうございました。 とても参考になりました