戦争中のフィリピンでの日本兵の敗走は、凄惨なものだったようで、大岡昇平が「野火」で書いたような人肉食いは、日常的に行われたようです。
しかし、それが伝わったのは、敗走途中で、ごく少数の日本兵が捕虜になり、戦後帰国したからで、大半の兵士たちが、最後にどうなっていったかは伝わっていません。
フィリピンは、どこも島ですから、逃げるといっても、結局山岳地帯に登ってゆくしかありません。
大半の兵士たちが餓死していったのは確かですが、一方で山岳地帯の人たちに助けられて、そこの住民になった兵士が相当数いた、ということも十分に想像できることです。
実際に何年か前、そうして発見された人がいましたね。
「フィリピンで日本兵が発見された」というニュースがたびたび流れるには、そうした背景があります。
戦前の兵士たちは、偏った教育を受けていますから、「今更おめおめ名乗り出られない」という気持もあるでしょう。
山岳地帯まで生き延びるには、当然、人肉食いもしているでしょうから、「うしろめたさ」もあるかもしれません。
今、ネット右翼などといって、勇ましいことを言っているウマシカたちは、戦争になれば自分がそういう目にあうかもしれない、ということは、想像することもできないでしょうね。