• ベストアンサー

裁判員制度は憲法違反!?

VOICEに掲載された井上薫弁護士の文章『「裁判員制度」は国民を否定する愚策』によると(以下URL=http://news.goo.ne.jp/article/php/politics/php-20080116-01.html)、裁判員制度は「法律知識については素人」の裁判員がおこなうため、「法律に基づく裁判ができる保障」がなくなり、「国民主権の原理が、司法権には届かなくなることを意味する」から「丸ごと憲法に違反すると断定しなければならない」としています。 ・この論理は果たして妥当なのでしょうか? ・妥当ならば、違憲立法審査を目的に訴訟を起こせると思うのですが、そういった動きはあるのでしょうか? お詳しい方の見解をうかがいたく、質問いたします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • phj
  • ベストアンサー率52% (2344/4489)
回答No.1

読みましたが屁理屈以外の何者でもないと思います。 社会の仕組みをよりよくする努力として、司法改革のみならず、行政でも立法でもたゆまない改革が行なわれています。 そもそも国民主権だって、貴族や王制から国民が自分の手に取り戻す努力をしたから現在主権を得ているのです。 ですので、どのような形であれ国民が参加するものが国民主権から離れるというのは屁理屈でしょう。 その上で、井上弁護士の論法を見て見ると、立法が国民主権の代弁の場所であって、裁判官は各権力から独立しているから、文句があるのなら立法で解決し、裁判官の独立性を犯すなという主張です。 では裁判官の独立とは何でしょう。 もちろん他の権力の言いなりになることは避けなければいけませんが、ここの裁判官が裁判所で下す判決が、国民の一般的な価値観とかけ離れていて言いわけではありません。国民が合意できそうな価値観を探りつつ、プロとして判決を行なうのが裁判官の仕事です。 国民の総意、価値観を損ねるようなことは憲法以前に裁判官の良心としてしてはならないことで、今後裁判員制度が始まれば今まで影になっていたものが、表に出てきて価値観を表明するわけで、国民主権がまたひとつ確かなものになるものと私は思っています。 また逆に、国民自体が本来の権利と義務としての司法参加、たとえば死刑の問題に対してもより身近に感じる機会にもなると思っています。 どのようなことかといえば国民主権である以上、犯罪に対する罰を裁定するのは国民であるということです。 もちろんこれは本来立法で刑法の改正ということで実現すべきですが、その後裁判官に任せたままというのは、無責任です。 裁判員として、有罪・無罪の判断から量刑に至るまで参加することで、国民としての義務を自覚することにも繋がっていくと思っています。 なにより、司法が国民とこれだけ離れてしまって、マスコミの報道が世論を作っているような幻想社会から見れば、これこそ国民主権の実現だと思います。

Toho-Fuhai
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 私の第一印象に近いものを感じておられたようで、心強く感じました。詳しい説明も理解しやすく、感銘しました。

その他の回答 (1)

  • nep0707
  • ベストアンサー率39% (902/2308)
回答No.2

あくまで法的観点での回答を。 井上弁護士は現職裁判官だった頃から 「裁判官は必要なことはちゃんとやれ。必要のないことはやるな」が考え方の基本にありますんで、 裁判員制度は「必要のないことをやる」制度に見えるんでしょうね。 でも、裁判員制度だと「法律に基づく裁判ができる保障がなくなってしまう」ことはないでしょう、さすがに… 裁判員制度は裁判を法律の枠からはみ出すことを許す制度ではないわけでして。 憲法76条3項に規定された「裁判官の独立」については、過去に解説したことがありますので、ご覧下さい。 http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3257880.html (この質問と全く同じタイトルです(笑)) 76条3項に規定された裁判官の独立というのは あくまでも行政権のコントロールを受けないという意味での独立に過ぎず、 裁判に際して自分の意見を通せるという意味ではありません。 で、井上弁護士の文章を読んで思うのは… まぁ大衆が愚衆に見えるのは法曹って世界にいると誰しも感じることだとは思うのですが、 ちょっと見縊り過ぎ、あるいは怖がり過ぎじゃないの?と。 上にも書きましたが、裁判員制度ってのは 司法に法律を突き破ることを許す制度でもなければ 今まで保障されていた刑事手続を壊す制度でもないわけです。 その点は今までと何ら変わりないでしょう。 法律的観点というよりは、政治性(というかイデオロギー性)の強い主張に感じます。 裁判官時代の井上さんの考え方はそんなに嫌いではなかったのですが… (人間味がないという批判もあったけど、裁判官がやるべきでないことをやるな、  というのは今、大衆が司法に抱く幻想を思うと、  正しい姿を知る上では重要な姿勢だったと思います) 裁判官やめてから、ちょっと切れちゃいましたかね・・・?

Toho-Fuhai
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 nep0707さんの回答は何度か拝見したことがあり、また今回の質問をする前にもリンク先の文章は拝読いたしました。 井上弁護士の主張はくだんのnep0707さんの解説の範囲を逸脱していると感じたので質問させていただきました。 なるほど、政治性、イデオロギー性の強い主張であれば、ああいった極端な論法も取りうるといったところでしょうか。分かりやすい解説ありがとうございます。