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今後の日中関係の展望
- 2050年の国家の国力を示す経済力(GDP)は中国がアメリカを抜き世界一になります。日本は中国の5分の1以下で衰退する見込みです。
- アメリカのプレゼンスも衰退し、対中関係が重要になる中、日本の外交戦略については不透明です。
- アメリカ重視の外交戦略では行き詰まる可能性が高く、新たな日中関係の構築が求められています。
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>>例えば経済産業省、農林水産省、外務省、防衛省の間で思惑が違います。 >>政治家の間でも色々と思惑が異なっています。 > >ここが一番知りたいとこなのですね。もう少し詳しく知りたいのですが…。 >大体は対米重視しかなくてもう少しいろいろな考えがあってもいいと思うのですが。 政府の戦略といっても、分野・専門によって考え方が分かれて 統一感に欠けるのではないかということです。 全部を的確に述べることはできませんが、安全保障政策としては アメリカ重視を「基本」とする面では当分変わりないとは思われます。 中国政府は、北朝鮮にせよミャンマーにせよ多くの場合、 人権よりも国家主権が優先されるという考え方で、 アメリカの介入に反対する立場を取ります。 中国と日本はナショナリズム衝突の問題も抱えていますし、 アメリカ側も日中の過剰な連携と対立の双方を警戒しているようです。 最低限平和を保ち、必要に応じて協力を行うことは重要になりますが、 パートナーシップとしては難しく、欧州や近隣諸国と 協力を強化するのと比べても障壁は非常に高いです。 しかし、外交関係というのは、軍事力を中心とした 大国のパワーポリティクスのぶつかりあいといった リアリズムの世界観だけが全てではありません。 最近は日本の最大貿易相手国は米国から中国に変わりつつあり、 旅客の出入国先も中国語圏が最大になってきており、 中国市場がアメリカ以上に重要になった日本企業も少なくありません。 アメリカの多国籍企業も冷戦のような中国との本格的な対立は望んでいません。 将来には経済的な相互依存がさらに深化する可能性は高いと考えられます。 ------------------------------- ・自由貿易協定・経済連携協定 ------------------------------- 経済筋には、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)という構想があります。 自由貿易協定は、EUやNAFTA(アメリカ・カナダ・メキシコ)のように、 地域の関税を撤廃、非関税障壁を取り除き貿易を活性化させる構想です。 経済連携協定は、関税以外に投資や制度の連携を含んでいます。 日本の農業以外の輸入関税は既に軽減・撤廃が進んでいますが、 中国の工業製品の関税障壁はまだ高い状況にあります。 こういったものを撤廃していけば中国との輸出入の深化が見込まれ、 貿易政策の中では最も大きい経済効果が見込まれる条約になります。 また、東アジアの弱点は非製造業の効率の悪さにあり、 この分野が改善できれば所得水準をより高めることができると考えられます。 製造業以外の企業も中国に進出して多国籍企業や中国企業と競争する中で、 東アジアの消費者の気質にあったイノベーションが生み出され 経済力が向上する可能性はあるかもしれません。 しかし、いくつかの点から難しい交渉になると考えられます。 第一に国内の農業筋からは輸入農作物による打撃に対する 懸念が大きく、交渉が難航することが予想されます。 中国以外のFTAでも農業問題を巡って交渉が長引くことが多い状況です。 第二に、中国はまだ他の主要先進国とのFTAを締結しておらず、 中国側に新規で要求する内容が多いため交渉が長引くかもしれません。 第三に、こういった条約によって中国との政治的な依存関係が 強まると困るという政治サイドの反対があります。 (アメリカとのFTA構想も存在はしており、 中国・アメリカの双方とFTAを締結する事も不可能ではありません。 韓国では既にアメリカとのFTAで合意済、EUとのFTAも交渉開始しています) 第四には、中国との貿易深化は低賃金の攻勢を受けて 国内の産業空洞化を招くのではないかという懸念があります。 ただし、理論上は、中国の低賃金は現状の中国経済の効率の悪さのためであり、 為替レートが調整されれば自由貿易は双方にプラスになると考えられます。 高い技術・高度な設備を要する部品では輸出が増加して 日本の国際的な優位性が高まるとも考えられますが、 世論としては何かと脅威論が大きくなる性質があります。 現在のところ中国とのFTA交渉はスタートもしておらず、 まだ締結までは時間がかかると考えられます。 代わりにASEANとの経済連携協定は大筋で合意しています。 人口5.5億人のASEANは、中国と並ぶ日本企業の製造拠点となっています。 この枠組みを拡張して、ASEANと日本・韓国・中国、 インド・豪州を包括する東アジアEPAを作る構想もあります。 ------------------------------- ・東アジア共同体 ------------------------------- EUの成立に触発され、30年後・50年後といった長期的な 将来に向け、東アジアでも地域連携の共同体を構築する構想があります。 ASEANと日中韓、加えてインド・オーストラリア・ ニュージーランドを含む場合もあります。 しかし、人類の1/3~1/2までを抱える込む巨大共同体構想は、 政治的には数多くの難題を抱えており、 どのような分野をどうやって連携するのかは極めて曖昧な状況です。 中国主導で政治が左右されるのではないかという反対もあります。 東アジアでユーロのような共通通貨を導入するという長期構想もあります。 しかし、共通通貨を取れば国内の経済政策が深刻な制約を受けるため、 さらに仕組み上外国人労働力の自由な流入を前提としているため、 こういった制度の実現は障壁が非常に高いです。 最近、統合に向けた初期段階としてアジア通貨単位というのが公表されています。 東アジア共同体に対してはアメリカからも反対があります。 日中がアメリカを外して連携すれば影響力が低下するという懸念があり、 豪州やアメリカ大陸を加えたAPEC(アジア太平洋経済協力)の 協力関係を重視すべきだとしています。 ここまで来ると統一的なアイデンティティは全くありませんが。
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- omeger
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------------------------------------ 1.ゴールドマンサックスの予測? ------------------------------------ ご承知だとは思いますが、ゴールドマンサックスの予測は 「可能性がある」ということであり、必ずそうなるということではありません。 将来のことは分りません。 ゴールドマンサックスも決して「今の成長率が続く」と仮定してはいませんが、 どれくらい成長率を落としながら成長し続けられるかに関しては 大いに意見の隔たりがあります。 GDP=国力かというと、強い関係はありますが、等価ではありません。 19世紀まで中国・インドのGDPは世界で一番・二番だったといわれますが、 それが国力だとは言い切れません。 中国やインドのGDPが日本を追い越す「可能性」は大いにあります。 ただし、1人当りの所得水準が追い越すのではなく、人口の力で追い越すということです。 国民生活としては、GDPの合計ではなく、1人当りのGDPを高めることが重要です。 ロシア・ブラジル・メキシコも1億人以上の人口を抱える国ですが、 これまでも未来予測が外れてきた国であり、 どうなるかはもっと分かりません。 ------------------------------------ 2.日本の国際的地位? ------------------------------------ 日本の為替レートのGDPが中国やインドに追い越されたとしても、 でも二番目でも三番・四番・五番目でも、 「国際的地位」が大きく損なわれるとは限らないのではないかとも思われます。 これまでも世界第二といったプレゼンスを行使していたわけではありません。 ドイツ、フランス、イギリス、イタリアなどの為替レートGDPも、 日本、中国、インドにこれまで追い越されたり、 追い越されつつあったりしますが、 それで自尊心が害されることがあったとしても、 国益が害されたとは限りませんし、 生活水準が害されたというわけでもありません。 ただし、21世紀以来、欧米人の多くは、 中国やインドの巨大市場を重視しています。 それが日本人にとって軽視されているという印象を与えているようです。 しかし、損害は何か?といわれると、 ジャパン・アズ・ナンバーワンのような国家意識が傷つく以外には、 経済面で悲観的に捉えるものはないように思われます。 ドイツやフランスが世界の中心になれないからといって、 カナダやオーストラリアが超大国になれないからといって、 必ずしも国益が害されたり、生活水準が貧しくなったり しているわけではありません。 ------------------------------------ 3.アメリカの超大国としてのプレゼンス? ------------------------------------ 唯一の覇権国のような存在は保てないとは言われますが、 ただ、極端な衰退論もどうかなという印象もあります。 アメリカの生活水準も、経済成長率も欧州や日本を上回っています。 依然多くの分野で世界の重要な人物はアメリカに偏っています。 ドルの価値が落ち、基軸通貨の地位が損なわれたとしても、 アメリカ人の生活水準は大した打撃を受けません。 ただ、アメリカ=グローバルスタンダードというのではなく、 多極化に合わせてもっと他の世界にも目を向ける必要があるとは言われます。 これは中国だけに限ったことではなく、 EUやASEAN、インドなどにも当てはまるはずなのですが。 ------------------------------------ 4.アメリカの対日関係と対中関係 ------------------------------------ 重要性だけで見るならば、アメリカの対中関係は 以前から軽視されたことはありません。 朝鮮戦争の敵国として、やがて冷戦の第三局、 ニクソン以降はソ連に対抗する米中関係として常に重視されてきました。 しかし、対日関係と対中関係は「国際関係の方向性」が違うので、 一様に比べることはできません。 貿易で見るなら、中国との関係も近年強くなっていますが、 カナダだって日本の2倍以上で中国以上の対米貿易規模を持つ国ですし、 近年メキシコとの関係も急激に拡大して日本以上の規模になっています。 貿易だけで判断するわけにもいきません。 アメリカの中国外交が今まで以上に重要になる可能性は高いですが、 これにはライバル視的な意味合いも強く、 必ずしも良い方向に緊密化するとは断定できません。 アメリカと中国の間には、貿易摩擦問題や多くの価値観の対立が絶えません。 中国側も、むしろ対日外交に曖昧な部分を残しながらも、 対米外交を最も重要な外交問題として強い警戒色を示しています。 ------------------------------------ 5.日本政府の対中外交の戦略? ------------------------------------ 例えば経済産業省、農林水産省、外務省、防衛省の間で思惑が違います。 政治家の間でも色々と思惑が異なっています。 この辺りは論点が多くて簡易にまとめるのは難しいのではないかと…。
お礼
回答ありがとうございます、とても参考になりました。 例えば経済産業省、農林水産省、外務省、防衛省の間で思惑が違います。政治家の間でも色々と思惑が異なっています。 ここが一番知りたいとこなのですね。もう少し詳しく知りたいのですが…。大体は対米重視しかなくてもう少しいろいろな考えがあってもいいと思うのですが。 簡単にはまとめられないのですね。
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「今の成長率が永遠に続く」の仮定自体が、おかしいが? ※今の中国の資金源:日本からの投資が無制限であると考えるのが・・・ 中国はアメリカと敵対しており 国内に「分裂の火種」を宿しているので、 あまり将来性のある国家とは言えません。 (国内での植民地:チベットなどが独立すれば、小国に戻ります。 永遠に他民族を弾圧/搾取を続けるのは不可能でしょうね) 尚、(中国と共に)犯罪国家の北朝鮮側につくのは、日本にとってメリットでは無く、 兵糧攻め(在日の資産凍結や強制送還など、国際法上合法な行為)まで行なう【度量】が日本政府に求められているだけですね。
お礼
ゴールドマンサックスの予測なのでそれなりに信頼性はあると思います。政治的リスクはあるものの、中国は潜在的に世界の極となる力を持っていることは間違いありません。別に中国の資金源が日本だけということはないでしょう。世界中の国が中国に投資してますよ。今後の対中外交の戦略を聞いているのですが、どうも回答のピントがずれているようです。
お礼
解答ありがとうございます。扱う範囲はひろいのでひと言では確かに述べにくいですね。日中関係は結局日米関係と同義みたいですね。