・『The night was young, and so was he.』
ウイリアム・アイリッシュ(幻の女)より
「夜は若く、彼も若かった」… 知る人も多い有名な書き出しです。
行ったことも見たこともない夜のニューヨークの街を、
あたかも自分自身がさまよっているかのような錯覚!
サスペンス小説の巨匠といわれたアイリッシュの往年の筆力によるものでしょう。
・『… ぼくのもっていくサントリー・レッドを飲んで下さい』
奥浩平(青春の墓標)より
味わい深いくくり方ですが、この本は小説ではなく彼の遺稿集というべきものです。
あの「二十歳の原点」で知られる高野悦子が、ひそかに憧れていた奥浩平…。
悲しいことに、彼も彼女も共に自ら死を選び、帰らぬ人となりました。
・『だから清の墓は小日向の養源寺にある』 夏目漱石(坊っちゃん)より
坊っちゃんに優しかった下女・清の姿が偲ばれる名文ですね。
「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」の書き出しは大変有名ですが、
私は結末のこの一文の方が好きです。
お礼
たくさんの回答ありがとうございます。どれも味わい深い文章達です。