新生児はビタミンKを作る能力に乏しいので、(成人ではビタミンKは腸内細菌によって作られますが、この腸内細菌がほとんどいないため)ビタミンK不足を起こすことがあります。
生後数日では新生児メレナ(消化管出血)、生後1ヶ月では特発性乳児ビタミンK欠乏症(頭蓋内出血)を起こしやすいことが知られています。
これを予防するために生後一週間と1ヶ月にビタミンKを投与します。
特発性乳児ビタミンK欠乏症は重篤で、母乳栄養児に多いのが特徴です。
1980 年に厚生省心身障害研究班で予防に関する研究が行われ、「出生24時間以内、6日目、1ヶ月後にビタミンK2シロップ 2 mg/1ml を10倍に希釈して 2 mg/10ml として内服させる」という勧告案が出されました。
この予防投与法に関しては、当初その有用性に関して関連学会からまちまちの見解が出されていましたが、1986 ~ 1988 年と1988 ~ 1990 年の二回にわたる厚生省班研究の調査により、ビタミンK2シロップ3回投与法の有用性は現時点ではほぼ確立されています。
と、いうことで、別に法律に定められているわけではありませんが、ビタミンKの投与を怠った場合には医師の義務を果たしていないことになってしまいますので、現在ではほとんどの病院で投与されているはずです。
お礼
なるほど。分かりやすいご説明ありがとうございました。