本屋でアルバイトしていた経験があります。
なぜ再販売価格維持制度があるかということですが、書店では売れない本を問屋に返本することが出来ます。つまり極端な話、新刊が出ると聞いて10冊仕入れて平積みにしても1冊も売れなかったから10冊全部返本しちゃってもかまわないんです(ただし、岩波書店だけは買い取りでした)。
本というのは実は毎日ウンザリするほど新刊が出ています。そして本というやつは売れるやつは売れるのですが、売れないやつはちっとも売れません。しかし、売れ筋の本しか置かないとそれは長い目で見て消費者にとっても書店にとっても困るんですね。というのは、世の中にはそれほど売れないけど良書というのがありますし、学術的な書籍はほとんど動かないのですが大学生や研究者などの「書籍資料」が必要な人たちにはそういう本が書店にないと困るんですね。
しかしながら私がバイトしていた頃から不良在庫が大量に出ることが主に問屋の経営を圧迫していました。というのは、末端の書店では返本がぽんぽんと出来ますからどこも「気持ち多め」に発注するんですね。それが積もり積もって各書店から返本が大量に発生して問屋には不良在庫が山積みになるという寸法です。
しかし倉庫に積まれた大量の在庫は(元々売れない本ですから)いつまで経っても箪笥の肥やしなので、絶版本などの制限を加えた上で「自由価格本」というのがOKになりました。一応新刊でありながら、書店が設定した値段で販売することを認めるというものです。
再販売価格維持制度は一種のカルテルですから、消費者の利益に反するという声も少なくないのですが、これを廃止すると出版社も「売れる本しか」出さなくなります。そうすると、真面目な学術書なんて売れやしませんから、出版社から出版を断られてしまうので主におカタイ業界から制度廃止に反対する声のほうが多いのが実情です。
お礼
ご回答ありがとうございます。 よく分かりました。 やっぱり現場にいた人は違いますね。 「自由価格本」というのがあるのですか。まだ見たことがないです。 アメリカは返品不可で、すべて買い取りらしいですね。