国の成り立ちに注目してください。
アメリカやオーストラリア・ブラジルなどの一部の移民国家以外は、長い歴史を持っています。
そのような国では、長い時間をかけて集落から豪族や貴族が生まれ、王家が誕生し、国を統治するようになります。このように国を治めるとき、「ナゼ私が統治できるのか」という理由を、正統性といいます。
日本は、天皇を象徴として、天皇から任命された内閣が政治を司さどります。これは征夷大将軍に任命してもらった幕府が政治を行うのとほぼ同じやり方です。(正統性の維持という点でです)
しかし、アメリカはそのような長い歴史的な正統性はありません。またフランスも王家を革命で倒した民衆が、自分で政治を行うことになりましたので、誰かにリーダーになってももらわなければなりません。
そこで、選挙でリーダーを選ぶ仕組みを考えました。これが大統領制です。
ですので、大統領制といってもいろいろな種類があり、たとえばフランスには内閣があります。これは連邦制のことに関わってきます。
連邦制とは、各州がそれぞれ国の権限を持つことです。ですので、州により法律が違うことも多々あります。これは広大な領土をもつ国に多く見られる特徴で、地域性などの事情で、統一してしまうとうまく行かなくなるからです。(大都会のNYと、カンザス州の小麦と牛しかいない地域を同じ法律で縛ったらうまく行きません)
このような場合、行政は各州の政府が行います。ですので州兵や州警察などもあります。アメリカ政府は、連邦の長として、外国との交渉や、州だけでは解決できない問題を扱います。(だからアメリカ人は自分たちの国をUSAと呼んで、アメリカとは言わないのです。彼らの意識としては、集合体である合衆国の国民なのです)
それにくらべ、フランスは連邦制ではなく、地域とその下に県を持つ、中央集権的な国家です。このような国では、ほぼすべてのことを国が決めます。日本も同じで、国会で法律が決定したら、日本のどこでも同じ法律が通用します。このとき行政の一番大きな単位は「国」になりますので、国会に対応する行政の長として、内閣が置かれることになり、各省庁は大臣が管理します。
まとめると
日本は、
立憲君主制で、議会民主制・都道府県による地方自治の国
アメリカ合衆国は、
大統領制で、議会民主制・連邦政府による完全地方自治の国
フランスは、
大統領制で、議会民主制・地方自治の国(地域と県による)
ついでにイギリスは
立憲君主制で議会民主制の連合王国(地方は各王国による自治政府)
さらに、連邦国家制をとっていて、カナダやオーストラリアは英国から総督が派遣されて、事実上は、女王陛下が治める国(正統性)です。もちろんカナダもオーストラリアも完全な独立国なので、自国のことは自国でやります。
このように、国の成り立ちにより国を治める制度が違います。
大統領・立憲君主制などは、主に国を治める正統性の問題
連邦制・都道府県制などは、国を運営する制度の問題です。