こんにちは。ふたつの考え方を提示したいと思います。
まず、そのGPSシステムは誰の税金で作られたかを考えてみるのもひとつのアプローチでしょう。税金を支払った者は、その恩恵を受ける権利があるというものです。訴訟好きのアメリカ人なら、ひとりくらいはそんな裁判を起こしそうですね。
これに付帯しますが、GPSシステムを作ったのは政府から依頼された民間企業です。もしこれを製品化して一般に販売したら、直接の売り上げと、パテント料などの間接の売り上げを考えると大変な利益が期待できます。それをわざわざ国家からの依頼だけで細々と利益をもらうのはバカバカしいですね。企業としても「これは幅広く市民のために公開されるべきだ」とかなんとかいえばいいわけです。
開発者もそうですね。特許料で莫大な利益がもらえるかもしれないと思ったらそれを国家だけに与えるだなんて我慢できないですよね。よっぽどの愛国者じゃない限り生きてる間はお金が欲しいですよね。
もちろん、これが一般公開されればアメリカ市民のみならず、敵方にも利益になってしまう可能性もありますが、それはまあ一般公開した以上仕方がないところであります。
ところで、こういった元々は軍事用として開発されていたものって意外に多いんですよ。例えばフリーズドライの食品。元々は軍事食として開発されたものです。ゴアテックスの防寒着。これも軍事用として開発されたものです。インターネットの基本システムも軍事用として開発されたものです。自動車のターボエンジンも戦車用のエンジンとして作られました。もっとさかのぼれば、缶詰や瓶詰め、サラリーマンのコートに至るまで元々は軍事用に開発されたものなんです。
さて、もうひとつはこれが世界中で使われることによる米軍のメリットです。もし中国軍やロシア軍もアメリカの衛星を使っていたら。今中国軍の軍艦がどこにいるか、いつでも、一発で、簡単に調べることができます。米軍はパソコンを見ながら世界中の軍隊の位置を正確に知ることが出来るんです。これはすごいことです。もし中国やロシアがアメリカと戦争になったときはGPSのスイッチを切らなければなりません。
また、湾岸戦争のときは米軍はGPS衛星にスクランブルをかけて使えなくしたそうですが、先のアフガン侵攻とイラク戦争のときはスクランブルをかけずに「間違った情報」を流したそうです。
これはどういうことかというと、米軍は秘密の専用のバンドを使って正確な位置を出しますが、この米軍用バンド以外はわざと間違った位置情報を流すようにしたのです。そうすると敵方はGPSが使えるので安心していたのですが、そこに示される場所は実は間違っていたものが表示されていたのです。
なぜそんなことをするかというと、スクランブルをかけると使えないからスイッチを切るでしょう?けれども、もしスイッチが入っていたら衛星から敵を常に「正確に」端末の位置を監視できるわけです。あとはその端末に間違った情報を流してやれば向こうは混乱するという訳です。
そんなメリットを考えたら欧州や中国が独自でシステムを作ろうとすることにアメリカが牽制するのもおおいにうなずけるものですね。逆に、欧州や中国からすると「常に米軍に監視されている」という危険を抱えているわけです。ただ、GPS衛星システムには膨大な予算が必要で、現在はアメリカ以外に開発できないというのが現実だと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 そうですね。身近なもので軍事用から民生品になっているものは沢山ありますよね。それを考えれば納得いきます。 チョット疑問ですが。GPSの端末は受信のみだと思うのですが、どうやって米軍は位置の特定が出来るのでしょうか。