A、どんな分野の歌......おもにビートルズとかダイアナ・ロスとかカーペンターズなどといったちょっと前のポップス系か、ミュージカルの中の曲も多いですが、時にはもっと古い時代のポップスも。
B、オリジナルは何語.......ほとんどは英語ですが、シャンソン系だとフランス語、カンツォーネだとイタリア語でも。
これまでいろいろ先生にについて本格的に教わって歌って来ましたが、原詩がことに英語の場合に感じるのは歌詞に使われた単語だけですととてもシンプルで、そのために、たしかに意味の上で理解はしやすいとは思うものの、多くはなんだか情緒といった点であまりにもサッパリし過ぎているように感じます。アメリカ人やイギリス人ってこんな程度の言葉でムードを感じ取れるのだろうかといつも不思議に思っていたほどです。
例えば、このサイトでも前にもたぶん書いたと思いますが、越路吹雪さんが歌っていらした<ラストダンスは私に>、これなんかは、原詩<Save The Last Dance For Me>の歌詞を読んでみると邦訳の<ラストダンスは私に>が珍しく実に原詩に忠実に訳されていることに驚きます。と同時に、邦訳はとても大人の女性の心情をデリケートに表現しているのに、原詩の方はとてもストレートで情緒といったものにはあまりにも欠けているように思えてなりません。いい例が、<貴方、踊ってらしていいわ.....>という出だしのフレーズの部分、これが原詩ですと< You can dance.... >これだけですものね。
こうした日本語ならではの、とても広い語彙の中から選び出した情緒豊かな表現も、それゆえに韻を踏み難くなったり、あるいはまったく別の意味を持つフレーズに置き換えなくてはならなくもなりますが、たしかに原詩ではシンプルなだけに、おっしゃる通り韻を踏んだリズミカルで印象的な作詞にはなっているようには思います。
こうしていろいろな曲を歌って来ていますと、原詩がそのままでとてもいいなあと思えるけれどとてもリズムとメロディにはめ込んで邦訳できそうにない曲も多いし、ここで書いた<ラストダンス....>のように、むしろ邦訳の歌詞のほうが素晴らしいといった曲もあるし、あるいは、< Green Green Grass Of Home >のように 死刑囚の心情を歌った原詩のイメージからはかけ離れて帰郷する人の喜びに置き換えた邦訳のものもあるし....といった具合で、それはそれで、それぞれ面白いものだと思っています。
お礼
詳細なご解説ありがとうございます。 参考にさせていただきます。 まあ、英訳詞が読みやすいというのも、 その原詞にもよると思うのですが、 そういう傾向があると思ったのは、 60年代の某有名なフレンチポップスの英訳を見たときです。 (フランスギャルとか、知っていますか?) あれは本当にわかりやすかった。 その曲に関して言えば、 原詞と英訳で語の順番が近かったからだと思います。 (単語を置き換えただけの状態に近い)