- ベストアンサー
仮処分とは?仮処分の申し立て手続きや効果について解説
- 仮処分とは、裁判所に申し立てることで、判決が確定するまでの間だけ特定の効果を発生させることができる手続きです。
- 仮処分の申し立てにより、第三者Bさんのアパートからの立ち退き命令やBさんのアパート賃貸料収入の損害をBさんが負担することが可能です。
- 裁判所は、仮処分の申し立てを受理し、判断基準を満たす場合には迅速に対応してくれます。ただし、申し立て理由や立証能力には注意が必要です。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
最初に事実関係の確認からします。 ○AさんはBさんのアパートに損傷を与えて居住不能となった。 ○Aさんは、たまたま不動産屋Cさんの計らいで、Bさん用に一時的に住めるアパートを調達できた。 ○損傷を与えたBさんのアパートは修復は済んだ。 ○しかし、Bさんは「修理が不完全」として一時的住いのアパートをでていかない 仮差押・仮処分(保全命令)は、訴訟の判決を待っていると、遅きに失する時に、現状に対して 裁判所が決定する暫定的処置の事です。 >もしAさんが裁判所に仮処分を申し立てれば、拡大していくCさんのアパート賃貸料収入損害を >「判決確定前にBさん負担」にできると聞いたのですが本当なのでしょうか? CさんとBさんの間にどのような契約関係があるかが不明なので断言できません。 但し、賃貸借自体は諾成契約なので、口頭の遣り取りでも契約は成立します。 仮に「Bさんのアパートの修繕が完了するまで、一日何千円でアパートを賃貸借する」という口頭 の合意があったとします。(これで賃貸借契約は成立) すると、Bさんは「アパートの修繕が完了する」事で契約が切れたにも関わらず居すわっている事 になります。 これに対して、「仮の地位を定める仮処分」をして、Bさんを賃借者(債務者)として賃料をBさん に支払わせるなり、賃借者でないとして立ち退きを求める事ができます。 民事保全法 第二十四条 裁判所は、仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは 禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をする ことができる。 ですが、いくつか条件があって、 1)Bさんの居座りに対してCさんのために保全する権利がある事 2)その保全に必然性がある事 3)Bさんが被るからも知れない不利益に対して、保証金を供託する事。 を満たせば仮処分申請は受理されます。 また、「仮の地位を定める仮処分」については訴えの提起が行われ、口頭弁論の期日または債務者 が立ち会う事のできる審尋の日を経る必要があります。 民事保全法 第二十三条 1 (略) 2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は 急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。 3 (略) 4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、 これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的 を達することができない事情があるときは、この限りでない。 ただし、飽くまで「仮」なので、実際に勝訴するまでの間の暫定措置です。 仮処分だけで終わらせる事はできません。 >裁判所はすぐに仮処分を受理してくれるのでしょうか? 仮処分は、簡易・迅速を要するので、前述の条件を満たせば且つ根拠とする事項についても疎明で あればOKで、厳格な証明は不要です >仮にBさんにも言い分があった場合でも、裁判所は仮処分だけは受け入れてくれ、本題について >は裁判で話合おうということで「BさんにCさんのアパートからの立ち退き命令」や「今後Cさ >んのアパートに継続して住んでいると、家賃はBさんの負担になりますよ」といった宣告をして >くれるのでしょうか? いいえ、Cさんの言い分だけを聞いてはくれません。Cさんが仮処分申請すれば、まずCさんの言 い分が通って「立ち退き」なり「賃料負担」を命じてくれます。 しかし、Bさん側にも「保全異議」という対抗手段があります。 異議を申立て担保を積めば、仮処分を停止または撤回できます。 民事保全法 第二十六条 保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる。 同 第二十七条 保全異議の申立てがあった場合において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情 及び保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき に限り、裁判所は、申立てにより、保全異議の申立てについての決定において第三項の規定によ る裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全執行の停止 又は既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 これも「保全異議」も「仮の地位を定める仮処分」と同じで、 民事保全法 第二十九条 裁判所は、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、保全異議 の申立てについての決定をすることができない。 ので、訴えの提起を前提として裁判が始まっているいる必要があります。 このような「保全命令」対「保全異議」が拮抗すると本訴訟とは別に保全訴訟という形になってし まいます。 質問者の方の望まれる仮処分は、不動産屋Cさんへの配慮だと思うのですが、Cさんが訴えの提起 をする必要があるので、配慮としては不充分な点があります。 できれば、法的な仲裁や調停で済ませた方が無難に解決できると思います。