株で儲けるというのは目標です。
その一方で株をやるなら損してやめなければいけない可能性があるという現実もあります。
メンタルな問題については精神修養しましょうといった解法は非現実的で(ヨガの修行をしなければ株で儲けられないなんてのは困る)、精神的に自分が耐えられる範囲でしかやらないというのが現実的な答えです。
精神的に耐えられないというのは、要するにお金が無くなることに耐えられないということです。自分が耐えられる範囲でやるということは、無くなっていい範囲の資金でやるということです。
無くなっていいお金なんて1円も無いといえばそれまでですが、もし本当に無くなっていいお金が無いのなら、株なんてやってはいけません。株をやる上で一番根っこのところにある重要なことは、資金が無くなるかもしれないということに対する覚悟です。リスクコントロールではなくて、覚悟です。
悲壮な覚悟である必要はありません。例えば50万円なり100万円ぐらいなら、車で事故ったと思えば吹っ飛んでいく程度の額だと思えば仕方ないかという範疇にならないでしょうか。50万100万が無くなると生活が苦しくなるという人は、株はやらない方がいいんじゃないかと思います。
どの程度の金額を覚悟できるかは人によって違いますから一概には言えません。
覚悟を決めるっていうのは、自分がどこで負けを認めるかというラインを引くことだと思います。負けて引退してもまたお金が出来たらリベンジしていいんですが、とにかく、いくら損したらやめるという線を自分で引いて自分自身で負けを認められることということが、本質的に重要な問題です。そうすることで、そのラインまでは頑張ることができます。
例えば最悪の場合100万円無くなる覚悟を決めたとします。
この場合に、損失が100万円まで達しないようにすることが、リスクコントロールとかリスクマネジメントとかいうものです。どんな本を読んだってリスク管理が大事だとしか書いてないんですが、リスクって具体的に何なんだということが明確化していないと机上の空論にしかならないのです。リスクというのは危険なんですが、相場で言う危険とはお金が無くなる可能性に他ならず、問題はいくら無くなる可能性があるのかというところにやはり立ち戻ります。
100万円だと決めたら、例えば1回の取引で許容できる損失額は10万円まで、と決めて取引するといったようなことがリスクコントロール、リスクマネジメントです。そんなに難しいことじゃありません。価格変動に相関性が少ない複数の銘柄でポートフォリオを組むというのも方法のひとつです。
こういう風に理屈をちゃんと考えた上で計画を立てれば、1回1回の損切りは怖くなくなります。下がったからといってそんなにビクビクすることも無くなります。
それでももしビクビクしてしまうのなら、取引金額が大きいんです。ビクビクしない額まで少なくすればいいです。
何か買おうと思ったときに、1回の取引での最大損失額10万円と考えれば、何株買うと何円下がったら損切りになるかといったことが自ずとわかります。
ストップ安を連発してる最中のライブドアを買うやつなんてバカだとか言ってる人がいましたけど、最悪500円捨てるつもりで1株500円で買った人は別にバカじゃありません。誰もが納得する合理的な理由がある銘柄でも損失許容額以上に買うほうがよっぽどバカです。
ポートフォリオを組むより損は1回10万円と決める方がシンプルじゃないかと思います。
実はやろうと思ったって10回連続で損するなんてことは極めて困難です。損得の確率が対等である場合に10連敗する確率は約0.1%です。普通は勝ったり負けたりを繰り返して、50回ぐらいの取引はできるものですから、1年ぐらいは持つんじゃないでしょうか。
確率論的に考えると、取引コスト(手数料とか日歩とか)分だけ徐々にマイナスに傾いていくことになりますから、株も取引を繰り返すほどだんだんと損していくものです。
取引を50回なり100回なり繰り返す間に、確率的に優位な取引の方法を探し出して身につけるということが株が上手になるということです。1回1回の取引では、その取引は自分にとって許容範囲の取引か、何故買うのか、ということを明確にして、結果が出たら、利食うことになった場合も損切ることになった場合も、計画どおりに実行したか、計画に論理矛盾はなかったか、ということを事後検証します。計画どおりに実行して損切りになった取引は正しい取引です。100連勝することなんか無い。6割勝てばいい。天底取る必要もありません。傾向としてプラスサイドに傾いてゆけばいいんです。
もし優位な方法が見つからなかければ、やめればいいだけのことです。
株で損してやめた人なんて世の中にゴマンといますから、気に病むような問題ではありません。
最初の覚悟というところに戻るわけですが、最悪やめればいいという覚悟さえあれば、怖く無いです。
以上のようなことを頭に入れて、当てる方法じゃなくて取り組み方全体について一度考え直してみられては如何でしょうか。
お礼
覚悟ですね。 そう覚悟。 とてもしっくりキマス! どう表現したらいいか分からない物に、最もふさわしいタイトルがついたような快感です。 負けが徐々に増えている今でさえ、技術論や勉強や情報収集にあまり価値を見出せません(それらを推奨する方ゴメンナサイ)。 技術論、知識、情報は確立を多少高める道具であり、ストイックにそれらに磨きをかけていっても、絶対に必勝法にはたどり着かないと思っています。 相場という個人の意思や知識では、絶対にコントロールも予想もつかないものに関わる以上、pastoriusのおっしゃる「覚悟」が最も大事なファクターじゃないでしょうか。 pastoriusさん、貴重なお話ありがとう御座いました。