こんにちは、私は現在8社のマイレージプログラムに入会しています。
最初に結論をまとめて示します。その後に詳細な説明をいたしますが、長文のためご興味をお持ちになった部分だけ拾い読み頂ければ結構です。
Q1 同じグループの航空会社なら一つのマイレージプログラムで貯められるのか?
A1 貯められます。ただしグループ内でも加算対象外の運賃や区間が一部あり、その場合には貯められません。これと逆にグループ外の航空会社でも、マイレージプログラム上の提携があって貯められることがあります。マレーシア航空はまさにその例です。
Q2 マレーシア航空に搭乗するが、ノースウェストの"WorldPerks"に入会するのがよいのか?
A2 WorldPerksが第一候補になると思いますが、シンガポール航空も利用されるならヴァージンアトランティック航空の"Virgin Flying Club"[1]という選択もあります。ANAのANA Mileage Club (AMC)は、お話の状況では適切な選択ではないようです。
Q3 オーストラリア航空、キャセイパシフィック、シンガポール航空を使う時には別のプログラムで加算しなくてはならないのか?
A3 全ての会社をカバーするプログラムはないので、マイルを貯めたいなら別のプログラムにも入会する必要があります。またオーストラリア航空利用ではマイルは貯められません(カンタス航空利用なら貯められます)。プログラムの選択案など、詳細は本文をご覧下さい。
マイルを貯める場合はおっしゃるように航空会社間の提携関係を活用すると効率的です。航空会社のグループの大きなものとしては、"Star Alliance", "Oneworld", "SkyTeam"の3つがあります。ただしマレーシア航空はどれにも加盟していませんので、個別に提携しているプログラムで貯めることになります。
WorldPerksの利点はマレーシア航空利用時でも加算対象となる運賃が多いこと、マイルの有効期限がなく気長に貯められること、キャンペーン類が多くボーナスマイルを稼ぎやすいことなどです。ただしその裏返しとして、特典航空券の予約が取りにくい欠点があります。
マレーシア航空便でWorldPerksの加算対象外となる予約クラス(*1)は、既に回答がありますようにG/L/Vです。ノースウェストは前出のグループのうちSkyTeam加盟ですから他の加盟会社でも加算が可能です。
ヴァージンアトランティックは三大グループのいずれにも属さない航空会社ですが、提携会社の多さでは引けを取りません。マレーシア航空利用でVirgin Flying Clubに加算する場合、予約クラスがYなら区間マイルの100%、M/B/Q/K/Hなら70%が加算されます。マレーシア航空国内線は加算対象外です。
またシンガポール航空利用でも加算できるので、マレーシア航空/シンガポール航空の2社を集中して利用するならWorldPerksよりよい選択と言えます。
Virgin Flying Clubでは何らかのマイル加算/減算があるたびに、保有する全マイルの有効期限がその時点から36か月先まで延びます。36か月以内の間隔で貯め続ければ無期限ということです。またANAも提携会社に入っておりANA便利用時の加算・ANA便特典航空券への引き換えも可能です。
日本では提携クレジットカードを出していないので、クレジットカード利用で貯める場合には向きません。
ANA(Star Alliance加盟)のAMCは搭乗での加算条件があまり良くない分を、日常生活での貯めやすさで補っています。クレジット機能付きの"ANAカード"にすればさらに効率的です。特典交換に必要なマイル数も少なめです。
しかし獲得マイルの有効期限が短く、獲得の翌々年12月31日で失効します。海外渡航が年に1~2回、国内での航空機利用がほとんどないとなると期限切れまでに必要なマイルを稼げるか微妙です。
加えて、マレーシア航空便を包括運賃(格安航空券やツアー)で搭乗した場合は加算対象外です。今回の航空券が包括運賃なら候補から外してよいでしょう。(マレーシア航空便でも正規割引運賃以上なら加算されます)
シンガポール航空(Star Alliance加盟)搭乗分はAMCや、マイルの有効期限の長いユナイテッド航空"Mileage Plus"で貯めるのが一般的です。しかし上で述べたように、マレーシア航空とシンガポール航空の利用が主ならVirgin Flying Clubを考えてもよいでしょう。Virgin Flying Clubでの加算対象予約クラスはY/B/U/M/H/K/E/W/L/Sです。
オーストラリア航空(AO)は現在、どのマイレージプログラムにも加算ができません。親会社カンタス航空(QF, Oneworld加盟)のマイレージプログラム"Qantas Frequent Flyer"(以下QFF)[2]にも加算不可です。カンタス航空便利用ならQFFはもちろん提携の他プログラムでも貯められます。QFFもマイルの有効期限規程は緩く、「何らかのマイル加算/減算があるたびにその時点から36か月先まで延長」なので実質無期限です。
キャセイパシフィックも同様にOneworld加盟で、キャセイパシフィック便の利用が多いならカンタス搭乗分と合わせて同社の"Asia Miles"[3]に貯める選択もあります。
ただQFFもAsia Milesもそれぞれに弱点があります。QFFはキャセイパシフィック便エコノミークラス(予約クラスB/H/K/L/M/V)の加算率(*2)を50%と低く設定しています。一方のAsia Milesは獲得マイルが3年で失効するので、旅行の頻度が低い場合にはお勧めしにくいです。
キャセイパシフィック利用でアメリカン航空(Oneworld)の"AAdvantage"を選ぶのはやめた方がいいでしょう。エコノミークラスで安い航空券は大半が加算対象外だからです(予約クラスY/B/Hのみ加算)。
なお最近、JALがOneworldに加盟する方針を決定しています。将来的にはJAL Mileage Bank (JMB)でも加算できるようになると予想されますが、JMBもマイルの有効期限が短いため(AMCと同じ)、お勧めはしにくいです。
いずれにしてもカンタス/シンガポール/マレーシア/キャセイパシフィックの4社全てをカバーできるプログラムがないので、2以上のプログラムの掛け持ちが必要になってきます(*3)。以下に「私ならこうする」という案を2つほど挙げておきます。
A案 マレーシア航空とシンガポール航空はVirgin Flying Clubに加算 カンタスとキャセイパシフィックはQantas Frequent Flyerに加算
B案 マレーシア航空はWorldPerksに加算 シンガポール航空はMileage Plus カンタスとキャセイパシフィックはQantas Frequent Flyerに加算
どのプログラムに入会するにしても入会は搭乗前に済ませてください。WorldPerksやMileage Plusなどは入会前搭乗分の加算を受け付けません。最近はほとんどの会社でオンライン入会を受け付けていますからこれを利用すると簡単です。
[1] Virgin Flying Club: http://www.virginatlantic.co.jp/flyingandmileage/index.php
[2] Qantas Frequent Flyer: http://www.qantas.com.au/international/jp/frequent_flyer/index.html
[3] Asia Miles: http://www.asiamiles.com/jp
*1 予約クラス 搭乗クラス(エコノミークラス、ビジネスクラスなど)の中にさらに細かく設けられている、販売管理上の区分で、アルファベット一文字で表示されます。予約クラスには高低があり、高いクラスだと予約が入りやすい、マイルの加算条件がよいなどのメリットがありますが、その分値段も高くなります。低い予約クラスはこの逆です。
航空券の最終券片、右上のところに
NRT
KUL MH 89 K 01JAN
NRT MH 70 K 08JAN
などと書かれている個所で便名の右の文字が予約クラスです。この場合は往路復路とも予約クラスKと読み取れます。(航空券購入前の場合は、購入の代理店に問合せ下さい)
*2 加算率 実搭乗距離に対する、実際に加算されるマイルの割合を「加算率」などと呼びます。
*3 スイスインターナショナルエアラインズの"Swiss Travel Club"だとマレーシア、カンタス、キャセイパシフィックの3社をまとめて加算できるのですが、このプログラムはルフトハンザの"Miles and More"への統合が決まっており、提携関係は今後変わるでしょう。またカンタスとシンガポールの双方を加算できるプログラムとしてスカンジナビア航空の"Eurobonus"がありますが、無理に選ぶ必要はないでしょう。
お礼
非常に詳しいご説明をいただき、どうもありがとうございました。今回はVirgin Flying ClubとWorld Perksとで迷ったのですが、旅行代理店に問い合わせて予約クラスを聞いたところ、World Perksでは100%、Virginでは50%がつくとのことでしたので、World Perksに入会することにしました。これから他の航空会社を使うときにはまたご意見を参考にさせていただくと思います。ありがとうございました。