理論上の勝率50%で100回取引したとして、発生損益の平均幅に対して5%のコストを支払うとすれば、損する確率は90%なんてものでは済まないです。
デイトレーダーといわれる人が月に平均20回売り買いするとして、1年間で240回も取引すると、例えば1日の約定代金300万円に対して某社の設定で3000円の手数料を支払うものとして、トータルで72万円ものコストを支払っているということになります。手数料は確定コストですから洒落になりません。
デイトレードだろうとバリュー投資だろうと、理論確率50%の呪縛を如何に逃れるかということだけが問題です。
しかし中長期の投資であれば、確定損失であるコストが小さいために、理論確率が50%であっても一定期間後に50%そのものとして実現する可能性は実は非常に小さいという逆説もあるから、プラスになることはけっこうよくあります。
中長期のバリュー投資はいいぞ、とお勧めするわけでもありません。
世界経済が永遠に発展することを前提として、これまで発展することしか知らなかったアメリカでの成功体験を前提に述べられる、バリュー投資の普遍性については、ぼくは盲目的に信用したいとは到底思えません。
しかし何十年というスパンでバイ&ホールドするような戦略は、何十年後に損している確率が90%なんてことにはまずなりません。毎日決済する取引で毎日少しづつ不利になって行くなら、1年後には殆どの人が損をしているのは自明です。
デイトレードの最大の効能は、間違ったことをしている人たちに対して、間違っていることを、短期間に現実として知らしめてくれるところです。
ぼく個人は、負けを認識できたデイトレーダーは、何の展望も無いまま値嵩株からバリュー株に変貌した塩漬け株を大事に握り締めている投資家よりも、遥かにマシだと思う。皮肉でも何でもありません。
勝ち続けるトレーダーとは、確率的に優位な取引方法をちゃんと探して、それを実行しているトレーダーだということです。
取引に対する自信なんていうものは問題ではありません。毎日損するかもしれないし儲かるかも知れませんが、それが予想範囲内の損益であるかということを、監視し続けているだけです。全体傾向がプラスに傾いているかどうかを監視しているだけ。怖いのは傾向が継続しなくなることを察知できないことです。
このような考えに至る為には、確率的に優位なトレードの方法論を探し出すことと、実際にそれを実行して儲かる体験を持つ必要があると思います。
実践の過程では、あらかじめ決めておいた以外のことをきっとやることがあると思います。そうして成功し、或いは失敗した結果を、正しく合理的に蓄積させて行くことができれば、毎日損したとか得したといったことはあまり関係ないと冷静に考えることができる程度の達観に至ります。これが自信のようなものでしょうか。完全な達観にはなかなか至りませんが。
ところで確率的に優位な取引の方法というのは、どこまで行ってもマーケットに現れる歪みでしかありません。
ぼくには、マーケットは本来ゆがむものであるという持論がありますが、自分が認識できている歪みが、いつか無くなってしまうかもしれない、という不安は、常に持っています。そのときにまた次の方法を探し出せるだろうか、という不安です。
どんな銘柄にも、どんな時期にも、普遍的に通用する固定したトレードの方法なんていうものは、ぼくは見たことがありませんし、信用しません。
お礼
的確なご回答ありがとうございます。 確率的に優位な取引方法を見つけて、それを機械的に行え、一喜一憂しない。うらやましいです。あとはカーブフィッティングに対しての不安という事ですね? 私もシステムトレードには興味があります。しかし日中のトレードを自分で検証したり分析する方法が難しく、分かりません。参考になるものあれば何でも構いませんので、もしお時間あればよろしくお願いします。今回は貴重なご意見ありがとうございました。