いわゆるインサイダー取引に関する規定(証取法166条)は、けっこう単純なことをものすごくややこしくてわかりにくく書いてあって、そうでなくてもややこしい証取法の中でも、読む気の失せる規定です。
ものすごく文字をたくさん書いてあるわりには、
「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」
なんていう、概念の定義方法に於いて許せない一文があります。
「投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす」かどうかなんて、発表しないとわかんないです。
強行規定は誰でも具体的にやってはいけないことがわかるような表現で記載されなければいけない、という刑法の理念から、懸け離れた、非常に出来の悪い規定です。
さて、ご質問の、
「○○会社が始めるこういうサービスのシステムつくってるんだ」
が、
「業務に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす」
に該当するかどうかは、実際にそのシステムのことが発表された後に、株価が大きく変動すれば該当する、変動しなければ該当しない、と、事実上は後出しジャンケンで決められてしまう可能性があると思ってください。
「業務に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす」かもしれない情報に基づいて取引しても、思惑と違って株価が大して動かなければ、捜査されたりしません。
あなた自身が直接のインサイダーでないないとします。
業務に関する重要な事実であるシステム開発に関する情報によって取引をする場合でも、公表の1ヶ月以上も前に買ったのであれば、インサイダー情報に基づく取引をしたと立証することが殆ど不可能だと思います。
検察には違法性の立証責任がありますから、そういう観点で考えても良いのでは無いでしょうか。違法であるかではなくて、処罰されるかどうかという観点からのアドバイスになっていますが。
上場会社と契約を締結してシステム開発してるプログラマーの方は、直接のインサイダーという立場になります。