イスラム教とキリスト教は、兄弟宗教であるため、少しの事が、相手の気にさわり、近親憎悪の世界となっています。
イスラムとキリスト教の対立は、イスラム軍が、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)の領土のシリアとエジプトを奪った事からはじまります。
シリアやエジプトでは、ヨーロッパ世界で異端とされた単性派といわれるキリスト教が広まっていました。
ビザンツ帝国は、これら単性派を弾圧していたため、シリアやエジプトの民衆は、イスラム軍を解放者として迎え入れます。
(イスラム軍が、信教の自由を保障していたため)
これに対しビザンツ帝国は、西ヨーロッパに対し援軍を要請します。
これにより、十字軍が組織されます。
この十字軍がやった事といえば、各地での略奪や虐殺をくりかえし、手に負えない無法を繰り返します。
ハンガリーやビザンツ国内から、アンティオキアやエルサレムまで、ほとんど全ての地域で行われます。
第一回十字軍は、奇襲でもあり、エルサレムを奪います。
その後エルサレムは、イスラムに奪回されたため、何回もの十字軍が送られ、イスラムと戦います。
そこでも、略奪・虐殺があり、イスラム側の敵対心を増幅させました。
イスラムにとって、宗教は、「経典の民」の宗教と言われる、ユダヤ教、キリスト教と、それ以外の多神教とは、はっきり区別されています。
イスラム世界で、信教の自由が保障されるのは、ユダヤ教とキリスト教で、それ以外の多神教は、邪教として、滅ぼすべき宗教とされていました。
しかし、18世紀ころから、ヨーロッパの列強が、イスラム地域に侵攻し、支配するようになると、対立の構図が、ヨーロッパ世界対イスラム世界に変化してしまいます。
現在のイスラム世界とキリスト世界の最大の問題は、両世界での原理主義の台頭です。
キリスト世界に比べ、貧しいイスラム世界の原因が、イスラムの教えに反する行為の横行と考えるイスラム原理主義者と、聖書絶対主義を唱えるアメリカの福音派が、相互理解に欠ける行為が、現状を悪化させています。