■MRIでは神経を写すことができますが神経走行自体が自動的に映し出されることはありません。断面の画像で神経の断面などが写っていればそれが神経であることは読影の専門家であればわかりますが、あくまでも断面なので、走行がどうなっているかはそれだけではわかりません。
■一枚一枚の断層写真をつなぎ合わせて3次元立体画像を再構築すれば神経走行は画像化できますが、手間がかかりますので、臨床では行っていません。特殊な症例だけ研究的に行っている程度です。患者さんが頼んでもこれは無理です。
■実際の腕神経叢は医学書や解剖学書に書いてあるように枝のようになってわかり易くなっているのではなく、何本もの神経が束のようになって血管と一緒にごちゃごちゃ走行していますので画像で見えたとしても1本1本の神経は判別できません。
■何の目的で画像が必要なのかは存じませんが、いずれにせよ、一般の方が検査してもらえるものではありません。最近は「画像でなければ診断できない医者、画像も見せないとわからない医学生」というのが増えていて大変困ります。脊髄根障害や腕神経叢の障害は、診察、筋電図と神経伝導速度検査で“確実に”診断ができます。ただその技術と知識をもった医者が少ないのです。