岩波文庫の寺田寅彦の随筆
寺田寅彦の作品に興味を持ち、岩波文庫の「寺田寅彦随筆集」を買いました。とても繊細な視点で世界を切なく美しく描写しておりはまっております。
で、ある本でその寺田寅彦の随筆にふれており、随筆から一節を引用していたのですが、その引用では、かなは正かなつかい、漢字は正字体でした。僕の読んだ岩波文庫では、現代かなつかい、漢字は略字体にされていました。こういった変更(改竄)は現在の出版界では当たり前のように横行していて覚悟の上だったのですが、よく読み比べるとそればかりではなく、「団栗(本当は正字)」という随筆は、岩波文庫では「どんぐり」とひらかなになっていたり、「云う」が「言う」になっていたりもしました。
かなつかいの変更や、正字を略字への変更は分かりますが(読む気をなくすけど)、漢字で書かれていた名詞をひらかなにしたり、「云う」を「言う」のような全くちがう字にする事ってあるのでしょうか。
引用した本の著者は、初版か何かの版を引用し、文庫は初版出版後寺田寅彦が手を加えて書き直したものを底本としているのかな、とも考えましたがそうではないのでしょうか。