- ベストアンサー
アメリカの徴兵制度二つして
アメリカでは現在、志願制ということになっておりますが、18歳~25歳くらいの男子は、SSSという選抜徴兵制の何かに登録しなくてはならなくて、もしアメリカ軍が(イラクやアフガン等で)やばくなったら、いつでも召集令状が来る可能性があるのですか。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
SSS(選抜徴兵局/義務兵役サービス)への登録は18歳~26歳のアメリカ市民、永住権保持者、米国に不法滞在している全ての男性に課された義務です(女性とそれ以上の年齢の者には義務なし) 非移民ビザで外交官関係のビザ、貿易関係のビザ、観光ビザや学生ビザで一時的に住んでいる男性は除外されます。つまりは適齢で、米国に生活基盤を持つか、持とうとしている者が対象です。 登録を怠った場合、250,000ドルの罰金、または5年間の禁固刑になる可能性があります。しかし、登録率は90%ほどとありますので、実際に罰せられるケースは多くないか、軽微な罰金で済んでいるのでは? また、非登録者は奨学金の受給条件とされているようですし、連邦政府関係への就職も不許可、31才まで市民権を取得できなくなります(市民権取得以前の5年間で法律違反を犯していると取得要件を欠くため)。 ここから徴兵に及ぶには、上下両院の議決と大統領のサインが必要となります。ここの部分が現在では整備されていないため、登録しても徴兵される可能性は全くありません(将来的にこの部分の法整備が絶対なされないという保証もありませんが)。 現段階では「将来的に徴兵制度を復活させなくてはいけないかもしれないので、その下地だけは活かしておこう」という程度のものです。最悪の事態を想定してある程度のリスクヘッジを行わなければならない団体である国家としてはそう異常な制度でもないと思われます。 日本では戸籍がほぼ完全なので、こういった登録制度はあまり必要ないのでしょう。 では、実際に徴兵制が復活する可能性があるのか、これは極めて低いと考えられます。 理由は 1)そこに手をつけなくてもまだまだ貯金がいっぱいある アメリカでは国軍とは別に州軍があり、その中には予備役に付いている将兵が多くいます。約142.6万人の現役兵に対して予備役116.2万人が普通の生活をして、動員がかかったら兵役に就くことになっています。こうした予備人員を育てる制度(例えば大学の学費と生活費を支給する代わりに消耗の激しい下級士官としての勤務を行うROTCなど)も充実させています。 #日本でも即応予備自衛官などの制度がありますが、現役自衛官26万人に対し5万人強と、一般的ではありません。 彼らは軍人としての基本的な訓練ができていますので、まったくのド素人をひっぱってくるよりも効率的です。それが100万人いますので、イラク・アフガン駐留の人数を引いた穴を完全に埋めても未だ余裕はあるでしょう。 2)徴兵の実効性の低下 現在では数が必要とされる歩兵であっても、ハイテク兵器を数多く扱い、瞬時に様々な判断を下す必要があります。兵器の扱いや判断の様式を憶えさせるのは大変な手間です。おまけに現在のような非対称な戦争を行うためには指揮官の判断を仰ぐことなく行動できる錬度の高い兵員が不可欠です。 また、大量の兵員が必要となる事態=世界大戦ともなれば、核兵器の応酬になってしまうため、一般人を悠長に集めているヒマなどありません。 斯うした条件下で、教育経費などを考えた場合、現在では徴兵は役に立たない、という見方が多く、現に徴兵制を止めようとしている国があります(中国やロシアなど、従来頭数で戦争を行ってきた国ですらそうした流れに乗っています)。 以上の理由から召集令状の来る確率はそう高くないだろう、と考えられます。 #昨年一瞬だけブッシュ大統領候補が徴兵制を復活させようとしているという言説が流布しましたが、この時議会に徴兵のための方案を出した議員は対抗する民主党の議員で熱心な反戦活動家で、提案の理由は「黒人や貧困層が(学費助成などをうけるため)軍役に付くのは不公平だから、平等に兵役をおこなわせよう」というもの。圧倒的小数で否決されました。これがケリー陣営の宣伝も相俟って伝言ゲーム状態で「イラク戦争が上手くいっていないので徴兵が行われる」という説に変ぼうしました。
お礼
素晴らしい回答ありがとうございます。 非常に分かりやすい回答でした。 要は、伝言ゲーム状態で「イラク戦争が上手く言っていないから徴兵が行われる」という都市伝説に発展してしまったのですね。 都市伝説って恐ろしいですね。