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井戸茶碗の梅花皮(かいらぎ)について
焼き物が好きで、特に高麗茶碗の中でも井戸が好きです。 素人でもわかりそうな本を読んで、そこで初めて「梅花皮」という言葉を知りました。 井戸の茶碗を見てから、博物館の刀剣の展示室で、太刀の柄に使われている本物の梅花皮を見て、 井戸の茶碗の梅花皮が、あまりにも本物を見事に 再現しているのにびっくりしました。 で、疑問に思ったのですが、井戸茶碗の梅花皮は釉薬をどのようにして出しているのでしょうか。 高台の周囲にあのように見事な凹凸を出すのは、かなりの技術が要されると思うのですが。 ご存知の方、ぜひ教えて下さ~い!!
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こんにちは。 正確な知識を知って頂こうと思います。 この様な事を一般の方に記載する事は無いのですが、正確な知識で愛好していただきたく考えて記載致します。 まず、高台の削りと言う物は、土物(陶器)場合は、半乾き状態でなされます。質問の井戸は、比較的初期の状態で削ります。これは、趣の良さと均一な乾きを必要とする為です。これは、生懸けで化粧をしたり釉薬を生懸けと言う手法で施釉する為です。 現代に於いては、通常素焼きと言う事をした後でこの作業をする事が多いのですが、井戸の場合は、化粧だけは生懸けします。(粉引きと呼ばれている物のほとんどが生懸けをします。) 井戸の場合は、ごく薄い物を懸けますので素地が状態が合わないと失敗します。 素地の配合も昔と随分違っています。 これによって生地と良く馴染む事に為り柔らかな色調と肌合いが生まれます。 釉薬と言う物は、窯の雰囲気と湿度によって微妙に変化します。この場合の釉薬は、長石主体の釉薬で粘りの強い物です。溶けた時の表面張力が大きな物で、条件次第で縮みます。この際に影響するのが水蒸気であるとされております。この雰囲気を作り出す事が至難の技と為っております。現代では、生懸けでの焼成が少なくなりましたし、窯の構造や材料などの違いからなかなか思うに任せません。 生懸けでの焼成には、成分の関係で眠りやボケと言った現象が派生し易くなりますので中々その中から一品を作出する事が難しい状況です。 温度を低くしての焼成では、井戸のような仕上がりには為りません。適正な温度での焼成の時でないとあの透明感が出ません。従って高台際の部分に出てくる梅花皮が容易に出来ない事の原因の一つになります。 割り高台の発生は、調べて頂くと判ると思います。 生活上の理由です。
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- sennnorikilyuu
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釉薬が焼成不足のために十分に溶けきらずちじれた状態。不完全を求めた現在では返って難しいので1の方の回答ともそんなに違わず。昔茶碗の荷作りのため重ねた一番底のものが割り高台のものだった大らかさの様な物。パソコン不慣れの為言葉足らず済みません。
お礼
「釉薬が焼成不足のために十分に溶けきらずちじれた」んですね。 ド素人にもわかりやすいご説明、ありがとうございます。 いずれにしても焼き物って、本当に火と土の織り成す偶然の産物が多いですね。 ありがとうございました。
- sennnorikilyuu
- ベストアンサー率0% (0/2)
もとは茶碗の粗悪品です。生地が生乾きの時に高台削りをしたために出来たものです。其の面白さを茶人が見出しました。
お礼
ご回答ありがとうございます。 インフルエンザでダウンしていたため、お礼が遅れて申し訳ありません。 #1の方とはまったく対極的なご回答ですね。 自分で陶芸をする訳ではないので、私には何とも判断しかねます。困ったな...
- idont
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おはようございます。 この事に関しての詳しい記載はできませんが、ご質問の「梅花皮」は、釉薬を焼成する時の条件によって出たり出なかったりと大変不安定なものです。 窯の雰囲気と土の粒度分布と釉薬の調合といった要素が関係します。釉薬を焼成する時に「ちぢれ」と呼ばれる現象がありますが、これが綺麗に部分的に起きているものです。「梅花皮」は、水蒸気の存在が大事なことになります。 井戸茶碗は、厳格にその構成要素が決まっており、「千、三つ」と言われています様に非常に作出が難しい物です。 千個の厳選された茶碗の中で三つ取れればいいほうだということです。
お礼
やっぱりねぇ。素人ながらも、これは半端な技術じゃないな、くらいの想像はしていましたが、 そこまで大変なものとは思いませんでした。 要するに偶然の産物に近いものなのですね。 井戸茶碗がこうまで珍重される訳がよ~くわかります。 丁寧なご説明、ありがとうございました!
お礼
ご丁寧、かつ分かりやすいご解説をありがとうございます。 釉薬が粘りの強いものであること、その表面張力を利用してあのような 見事なかいらぎ状の凹凸が出るのは、素人ながらもうすうす感じてはおりましたが、 実際に出すとなると、本当に大変な作業なんですね。 これからは井戸の茶碗を観る目が変わりそうです。 好い勉強をさせていただきました。重ねて御礼申し上げます。